出版文化が花開いた江戸時代、さまざまな知識が書物によって伝播していく中で、人びとのなかに「学び」への熱が高まっていった。 彼ら・彼女らはどのような知識を求め、どのような体系のなかで知を自家薬籠中のものとしていったのか。 そして、それを担う書物はどのように読者の手に伝えられたのか。 当時のベストセラーである啓蒙書や教養書、そして、版元・貸本屋の記録など、人びとの読書と学びの痕跡を残す諸資料の博捜により、日本近世における教養形成・書物流通の実情を描き出す。 はしがき 第一章 近世初頭の書物と読書瞥見 一 書物の探索と入手 二 書物書写と慶長写本 三 印刷本 四 書物の譲渡、融通、本売 五 虫払と目録 六 読書始、進講、講釈、会読 第二章 近世における出版と読書 一 寛永期の整版本出版 二 元禄期三世代目の出版 三 享保期より四世代目以降の出版 四 四民の学習 第三章 近世庶民の学問とは何か は