なんという偶然でしょう! 東電福島第一原子力発電所が事故を起こした今、IAEA(国際原子力機関)の事務局長を、日本の元外交官である天野之弥(ゆきや)氏が務めている、これは偶然というにしても大変なことです。 勿論、IAEAの事務局長が厳正中立だという前提に立てば、この「偶然」は意味がないことになります。IAEAは権威のある組織ですし、現時点ではアメリカで見ている限り「日本人の事務局長」への批判は特には起きていません。ですが、そうであっても外交や原子力関係の査察というのは、人間の行為に他ならないわけです。天野事務局長自身が厳格な中立を貫くことができたとしても、周囲の人間には何らかの「ブレ」が生じる可能性はゼロではありません。 実は、事故発生の直後に私は天野氏に辞任を勧めることを考えました。その理由は、大きな原発事故の当事国からIAEA事務局長を出しているというのは、誤解を招く危険があるという点