思い通りのコンテンツを生成できるAIが不正研究を加速 ディープフェイクを見破るためにかかりすぎるコスト 小林啓倫 経営コンサルタント 20世紀初頭のこと。英イーストサセックスのピルトダウンにおいて、アマチュア考古学者のチャールズ・ドーソンがいくつかの化石人骨を発見した。彼は大英博物館のアーサー・スミス・ウッドワード卿と共に発掘・研究を続け、1912年、これらは新種の原始人類の化石で画期的な発見であるとして発表した。いわゆる「ピルトダウン人」である。 結論から言えば、このピルトダウン人は真っ赤な嘘で、数々の証拠も捏造されたものだった。人間やオラウータンの骨を加工し、さらに着色や摩耗といった処理をほどこすことで、それらしい「化石」を作り上げていたのだ。ピルトダウン人事件は研究不正の代表的な例、またもっとも大胆な例のひとつとして、現在でもよく知られている。 しかしドーソンらの主張が明確に嘘と判定