政府は、来年度・平成25年度の経済成長率について、震災の復興需要を背景に個人消費が改善するなか、物価の変動を反映させた名目の成長率が16年ぶりに実質の成長率を上回り、物価が上昇に転じるとする見通しを示すことになりました。 日本の経済成長率は、物価が下落するデフレ経済が続くなか、物価の変動を反映させた名目の成長率が実質の成長率を下回る状況が続いています。 しかし、政府は来年度の経済成長率について、名目で1.9%、実質で1.7%とし、平成9年度以来16年ぶりに名目が実質を上回り、物価が上昇に転じるとする見通しを示すことになりました。 これは、震災の復興需要を背景に、個人消費を中心に内需が改善するなか、物価も緩やかながらも上昇に転じていくとみているためです。 ただ、民間のシンクタンクの間では、ヨーロッパの信用不安による海外経済の減速などにより、成長率で名目が実質を下回るデフレの状態が続くという予
本稿では、JSTARの1st waveと2nd waveの二期間のデータを用いて、税・社会保障政策が日本の中高齢者の所得格差、貧困にどの程度の改善効果を与えているかを格差指標、貧困指標、さらにはカーネル密度推定を利用して定量的に把握した上で、どのような属性の世帯が相対的貧困に陥っているのか、また、中高齢者はそれぞれの年金給付水準の下で、どのような労働供給(自助努力)を行っているのか、という点についてパネル・プロビット分析を行った。 その結果、日本の税・社会保障の再分配機能は、65歳以上の年金受給世代の世帯でしか機能しておらず、現役世代においては、ほとんど機能していないか、もしくは、指標によっては格差が悪化している可能性があることが確認された。また、年金の給付は相当程度の防貧機能を果たしているものの、中高齢者の自助(労働)よりも効果は若干弱いこと、手段的日常動作能力の悪化が貧困転落の要因にな
緊迫したスペイン経済金融情勢を受けて、足元再び円高基調が強まっている。ここ数カ月で見ても、主要通貨では円だけが通貨高に動いており、それ以外の主要通貨が総じて対ドルで下落している中では、円の独歩高は際立っている(図表1)。 今回の円高で気がかりなのは、通貨安となっている主要国の多くが貿易黒字国・地域であることだ。図表1で示した国々・地域で見ても、唯一の通貨高国日本が貿易赤字であるのにたいして、通貨安の14カ国・地域のうち貿易黒字国・地域は9もある。 足元の為替相場変動の背景には、資金がリスクを避けて相対的に安全と目される円やドルなどに逃避していることがある。しかし、世界経済の減速などで主要国の金利水準も歴史的な水準にまで低下しており、このままでは2010年秋のような通貨安競争が再燃しかねない。
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