1 日銀が大胆に金融緩和を行いさえすれば、市中に出回っているお金の量「マネーストック」が増大しデフレ不況から脱却できるので、消費税を増税しても構わない。そういった見解は恐らく間違いであろう。 ゼロ金利下で、消費税増税によって国債の発行額を減らしたならば、その分だけマネーストックの増大は抑制されるはずである。 「ゼロ金利経済」は、通常の経済である「プラス金利経済」とは全く異なった性質を持っている。そのため、ほとんどプラス金利経済についてしか記述していない一般のマクロ経済学の教科書はあまりあてにならない。 例えば、ゼロ金利経済では「政府による財政政策」と「中央銀行による金融政策」を分けて考えることができなくなる。この経済では、マネーストックをコントロールし得るのは、中央銀行というよりもむしろ政府となる。一体なぜこのような奇妙なことが起きるのだろうか。 2 まずプラス金利経済の特徴を見てみよう。