将棋の公式戦で7月、史上初の「入玉宣言法」で決着した対局があった。勝ちを確信した側が「勝利宣言」するもので、2013年10月の導入以来、史上初の適用とあって大きな話題となった。耳慣れないこの手法、いつからどういう目的で考案されたのか。関係者に取材し、当日の様子を改めて振り返った。【丸山進】 アマ大会の円滑運営のため 将棋は互いの玉(王)を取るゲームだが、双方が敵陣に入る「相入玉」になると玉を詰ます(玉を取って勝負を決める)ことが難しくなり、双方が持っている駒の点数で勝負が決まる。プロの公式戦の場合、持ち駒の合計点数(飛・角は5点、その他は1点)が双方とも24点以上あり、両者の合意が成立すれば持将棋(引き分け)。一方が24点未満の場合は、点数の足りない方が投了するまで続く。 勝又清和七段によると、アマチュア大会の場合、一局が延々と続くと進行の支障になるため、日本将棋連盟理事だった堀口弘治七段