今、あなたは、ある翻訳書を読んでいる。 何百年か前にヨーロッパのどこかで書かれた原典を、日本の学者が翻訳したものだ。 実は、その原典についていえば、古い本なので、他にも翻訳がある。 その手の本を読み馴れた人なら、あるいはその分野の業界にいる人なら、どの翻訳が読みやすいとか、どの翻訳はほとんど弟子が訳したものを師匠が訳したことにして出しているとか、○○先生はあんまりだけど(下訳をする)あそこの院生は優秀だから、といった事情を知っている。 しかし、自分が今読んでいる本に、他の翻訳があることを知らない人、あることは知っているが気にしない人、というのも意外に多い。 どんな訳でも、原典が一緒なんだから(いや、原典が違っていることだって、ままあるのだが)大した違いはないだろうと思っている人だって、少なくない。 今では、少し調べれば、たとえばネットでどこかの大きな図書館のOPAC(おぱっく・おーぱっく
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