今まで想像すらしなかった、勝手だけれど、父から母への感謝と親密な思いが詰まった手紙に、私はしばし絶句してしまいました。普段は手に負えない父の、混沌と、苦悩と、純粋さが妙に腑に落ち、母が誰にも見せることなく、それを大切に自分の本棚にしまってあったことに納得してしまいました。そして、長年、私の心のどこかで許しがたかった父と母のあり方へのわだかまりがすーっと解けていくのを感じたのです。こんな単純なことで、あれほど長年かけて形成された重いかたまりが溶け出すはずがないと自分に呆れつつも、母が時折、自虐的に笑って言いました。私が他所から内田家に嫁いで、本木さんにも内田家をついでもらって、みんなで一生懸命家を支えているけど、肝心の内田さんがいないのよねと。 私が唯一親孝行できたとすれば、本木さんと結婚したことかもしれません。時には本気で母の悪いところをダメ出しし、意を決して、暴れる父を殴ってくれ、そして
![樹木希林さん告別式 内田也哉子の喪主代理挨拶全文掲載│NEWSポストセブン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/15d32993badb47d41cdf66ab1eaf459f810e0746/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.news-postseven.com%2Fuploads%2F2018%2F10%2Fmotoki_masahiroyayako.jpg)