『週刊新潮』 2011年2月3日号 日本ルネッサンス 第446回 過日、日本の国防体制の問題点について元外交官で国際的視点から国防問題を研究してきた色摩力夫(しかまりきお)氏の意見を聞いた。興味深かったことのひとつが国際法と国内法の比較と相違だった。 国際法に平時国際法と戦時国際法の2つがあるのは周知のとおりだ。また、一旦批准すれば、全ての国際法は憲法と国内法の間に位置づけられる。憲法はその国の根本的価値観であるために、如何なる場合も国際法や条約より優先されるが、国際法及び条約と国内法が異なる場合、前者が優先され、国内法は改正を求められるということだ。 国内法はいきなりどこかから生まれてきたものではなく、その国の人々の生き方や暮し方を基本にして作られたもので、いわばその国の価値観である。国際法や条約は、そのような社会の基本を変えてしまうこともある。注意深い吟味が必要なゆえんである。 国際法