社会保障の改革、財政健全化の議論において、世代間の公平という問題はよく俎上に載ってくる。しかし、よく聞かれるのが現在引退していく高齢世代が財政赤字の累積などのツケを後世代に残してしまおうとしているのではないかという、言い方である。しかし、財政赤字は誰に借りたのかといえば、日本の場合はギリシャなどとは違い、世界最大の対外純資産国なので国内資金で十分に賄え、今のところは間接的なものを含め国民自身が貸しているという姿になっている。しかも、一般政府のバランスシートをみれば、負債が資産を上回る純債務状態に転落したとはいえ、負債の反対側には資産(その中身は精査する必要があるだろうが)もあることは忘れてはいけない。純債務額は49兆円(2009年末、国民経済計算)で国民ひとりあたり40万円強なので、いま健全化に歩み出せばまだ間に合う。 こうしてみると、政府債務問題を外から借金しているツケを子孫に残してしま