やり方次第では、企業の競争力を高める強力な武器となり得る「データ活用」──。だが一歩誤れば、プライバシーの侵害につながり、事業の存続が脅かされる恐れもある。未来を切り開くために、データ活用の便益と個人情報保護をいかに両立すべきか。 自社のサービスを通して蓄積した膨大な「ビッグデータ」の活用で世界の先頭を走るネット検索最大手の米グーグル──。今年に入って同社の個人情報保護を巡る問題が立て続けに注目を集めた。 まず国内で話題となったのが、東京地方裁判所が3月25日に下した決定だ。同社の検索サイトに自分の名前を入力すると、「サジェスト」と呼ばれる機能によって犯罪を連想させる単語が自動表示されるとして、ある男性がプライバシー侵害などを理由に同社に表示差し止めを求める仮処分申請をした。東京地裁は申請を認めて仮処分を命令した。 男性は数年前から突然会社を解雇されたり、再就職の内定を取り消されたりする事