経済成長政策を考える際、その基本になるのは「成長会計」の概念であろう。経済のアウトプット(GDP)は、そのインプットの変化で決まる。具体的にインプットとは、労働、資本、そして生産性(全要素生産性)である。安倍内閣での成長戦略を議論する「産業競争力会議」では、こうした視点からまず2つのことが話し合われた。第1は、労働インプットを拡大するための労働市場改革。第2は、資源の効率的配分を通して生産性を高めるべく、「産業新陳代謝」をいかに高めるか、である。もちろん、労働市場改革で労働資源の効率配分が実現すれば、経済全体の生産性を高める。また産業新陳代謝を高めるには、正社員が過度に保護された現状の硬直的な労働システムを変えねばならない。2つのテーマは、相互に関連している。 労働市場の改革 筆者が強く主張したことは、人口減少の下で女性や高齢者の労働参加を高めるべく、多様で柔軟な雇用形態を可能にすべきだと