『薔薇園』(ばらえん、ペルシア語: گلستان)は、1258年(ヒジュラ暦656年)にシーラーズ出身の詩人・旅行家のサアディー(1210年頃生 - 1291年または1292年没)が著した書籍である。『グリスターン』や『ゴレスターン』などの日本語訳もある。さまざまな言語に翻訳されて現在でも読まれており、『果樹園(ブースターン)』と共にサアディーの代表作として知られる。各地を旅した見聞や体験をもとにした思索が、散文と詩の様式で書かれていて、簡潔な表現による格言や金言も数多い[1]。 表題の薔薇園を意味するگلستان(Gulistan)はペルシアで一般的な名詞であり、gul(花、薔薇)とstan(富めるところ)を合わせている。日本の国文学で「花」が桜を指すように、ペルシア文学でgulは薔薇の花を意味する[2]。 サアディーが生まれた当時のシーラーズは、アタベクの政権であるサルガル朝の統治下