弟たち、息子たち、そしてチンギス自身の領民は、それぞれどのあたりで遊牧していたのでしょうか? 現在の航空写真(Google Earth)上に示してみると、下図のようになります。弟たちは東部、水と草が豊かで遊牧に適した地域。長男から三男は西部、ユーラシア大陸の東西を結ぶ交通路の途上にあって、西への進出に適した地域。チンギスと四男は中央部、東西の交通路と南北の交通路が交差する重要な地域。この配置はチンギスのヴィジョン―弟たちには豊かな遊牧地を与えて苦労をねぎらい、息子たちには西への進出を促す―を反映したものと考えられています。(注2) その後、モンゴル帝国の拡大とともに、チンギスの弟たち、息子たちを始祖とする諸王家の領民は増え、領地も広がっていくこととなります。たとえば、チンギスの時代に始まり、マンガ最新話(第16幕、1230年)まで続いている、金国との戦いで獲得した民と土地。1230年時点で