2014年から今年にかけてメディアに頻出した「捏造(ねつぞう)」が流行語大賞の候補に選ばれなかったのは、常用漢字にない難字と暗くどぎつい語感のせいかもしれない。ちなみに『広辞苑』第6版を引いてみると「事実でない事を事実のようにこしらえること」とある。 最近のトピックスでは「STAP細胞はES細胞を使って捏造されたもの」と報じられた小保方事件、「“慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に」の見出しをつけた『週刊文春』(14年2月6日号)の記事と西岡力教授の関連コメント等が名誉毀損(きそん)に当たるとして、植村隆元記者が1月9日に起こした大がかりな民事訴訟が思い浮かぶ。大がかりなと形容したのは、原告は1人なのに代理人として170人の弁護士が全国からはせ参じたことを指す。 ◆スラップ訴訟の成立基準 いずれも一過性の論争ではすまず、今後も尾を引きそうな気配だが、ここでは植村訴訟が提起したいくつ