慶應大学の中室牧子氏がSYNODOSに「就学援助だけでは、負の世代間連鎖は断ち切れない」と言うエッセイを公開している。ソーシャル・ブックマークにコメントが色々とつけられているのだが、批判的なものは無いようだ。しかし、この作文、端的に言うと開発途上国と先進国の違いを認識できていないゆるふわで、途上国の教育事情も理解していないように思える。「負の世代間連鎖」と書くと、開発途上国と現代の日本で同じような問題があるように感じるが、その中身はかなり違う。また、統計データは裏側の事情を念頭に置いてみないと、論理の飛躍を招いてしまう。 1. 開発途上国の負の世代間連鎖と教育政策 開発途上国では、児童労働が家計を支えていたりするし、文房具なども所得に対して高価なので、学校に通わせることが家計の大きな負担になる。だから金持ち家庭でないと、子供を小学校にも通わせられない。貧乏人の子供は、本当に無学になる可能性