マレーシア南部の沖合にある「フォレストシティー」に行くには、郊外を縫うような道路を走り、ヤシの木が生い茂る農園を通り抜ける。 やがてこずえの向こうに見えてくるのは、淡いブルーの海と高層ビルが立ち並ぶ人工島だ。「フォレストシティーへようこそ」と書かれた看板が立っている。 中国の不動産ブームに賭けた大胆なギャンブルの産物がこの奇妙な都市で、中国の不動産開発大手、碧桂園が手がけている。ここはまだ1000億ドル(約14兆6000億円)が投じられるとみられる開発プロジェクトの第1弾に過ぎない。ただ、住宅市況が大きく悪化する中で、中国の不動産市場は危機的な状況に陥っている。 さらに数分走ると、ほとんど人通りのない通りに白いタワーが立ち並ぶ。つばの広い帽子をかぶった管理人が誰もいない歩道を歩き回り、手入れの行き届いた植物の手入れをしている。赤いベレー帽をかぶった警備員らは詰め所でくつろぎながら、車の流れ