健康で体力があるとき、財力や権力、才能などがあるとき、自由にいろいろなことができるとき、人から頼られる存在であるとき、人は誰でも強く前向きに生きることができます。 ところが、そうしたものを失ったとき、つまり「弱い」自分になったとき、多くの人は苦しみ、絶望し、生きる気力を失います。(「はじめに」より) こう指摘している『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』(小澤竹俊 著、アスコム)の著者は、人生の最終段階を迎えた多くの患者さんたちと関わってきたというホスピス医。つまりこのタイトルは、人間の本質的な部分を表現しているわけです。 とはいえ、そうした人々が本当に弱くなったのかといえば、答えはノー。なぜなら彼らは単に、目に見える「わかりやすい強さ」を失っただけだから。強さにはそれ以外にも、「弱さのなかで見つかる強さ」「弱さから生まれる強さ」があるというのです。 それまで強かった人が、弱さを得て