五味相生の譬(ごみそうしょうのたとえ)とは、仏教における大乗の涅槃経に出てくる譬えである。五味の譬え、あるいは醍醐の譬えなどともいう。釈迦が衆生の機根(性格や教えを受け入れられる器)を見極め、順序だてて教えを段階的に説いたことを表し、涅槃経こそが最後にして最高であると説いた経文である。 「牛より乳を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より生蘇(しょうそ)を出し、生蘇より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐を出す、醍醐は最上なり。もし服する者あらば、衆病皆除く……仏もまたかくの如く、仏より十二部経を出し、十二部経より修多羅(しゅたら)を出し、修多羅より方等経を出し、方等経より般若波羅蜜を出し、般若波羅蜜より大涅槃経を出す……」(「譬如從牛出乳 從乳出酪 從酪出生蘇 從生蘇出熟蘇 從熟蘇出醍醐 醍醐最上 若有服者 衆病皆除 所有諸藥、悉入其中 善男子 佛亦如是 從佛出生十二部經 從十二部経出修多羅