映画監督のジェームズ・キャメロン氏がマリアナ海溝の底、水深1万898メートルに到達したとき、その真上には虹が出ていた。(参考記事:「ジェームズ・キャメロン監督と水深1万898メートルの深海底の動画」)(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 驚くべき発見だ。地球上でもっとも人里離れた場所といえる太平洋のマリアナ海溝で、高濃度に汚染された中国の河川以上に汚染物質が蓄積されているという報告がもたらされた。 オンライン学術誌「ネイチャー・エコロジー&エボリューション」に掲載された論文によると、ロボット潜水艇を使って深さ約7800~1万メートルで捕獲した甲殻類に含まれる汚染物質の量は、中国でもっとも汚染された川のひとつとされる遼河(りょうが)から水を引いた水田のカニの50倍もの量だったという。(参考記事:「深海への挑戦」