前エントリのなかにでてくる「「よい教育」を実践しても、その要因独自の効果が安定した頑健なものとして取り出されることは、今のところ、めったに、ほとんど、ない」といった表現には、ご想像の通り、一定の誇張が入り込んでいる。少なくとも心理学系の専門家からは「ちょっと待った」の異議が入るところではある。 ある教育のやり方が他のやり方に比べてより高い効果をもたらす、という結論が安定して得られている事象も――もちろん――存在する。門外漢ではあるが一例を挙げると、ある学習環境(たとえば教室)でどのような目標が重視されるか(=目標構造、goal structures)――競争的/協同的/個別的 etc.――によって子どもの学業成績や良好な友人関係形成への影響に有意な違いがあることなどは、かなりの程度、研究者内での合意が得られる水準にまできてるだろう(上記三者の目標構造のなかでは「協同的 cooperativ