今年はニーチェを重点的に読むということを決めていて、つい最近も、ちくま学芸文庫の『権力への意志』を、えっちらおっちら読んでいた。 簡単に感想を書いておこう。 実は、その直前にマキアヴェリの『君主論』(中公クラシックス)を、これも初めて読んだ。その後でニーチェを読むと、彼がマキアヴェリからいかに多大な影響を受けたかということが、よく分かった。ニーチェの思想のなかで最も鮮烈な部分は、すべてマキアヴェリの影響であり、しかもマキアヴェリの力強さには達していないのではないか、そう思えるほどだ。 とは言っても、ニーチェの思想には大きな魅力がある。それはもちろん、ヨーロッパを支配するキリスト教道徳への挑戦であり、それを根幹として、「真理への信仰」や、自由主義、民主主義などの欺瞞性を告発し、解体していったことである。つまりは、それらが結局、「権力への意志」に根ざしているのだということを暴露した。 ちょうど