「金融緩和の長期化がバブルの要因」と言われる.だが,具体的には誰が何をやったのか,あるいはやらなかったのか.圧倒的な取材力で独自に入手した日銀や大蔵省,さらにアメリカ側の公文書,日記,備忘録,150人以上にのぼる当局者へのインタビュー,部内での大量のオーラルヒストリーなどで,「あの時代」の金融行政の最前線を再現する. ■編集部からのメッセージ 「とにかく私は自分の思ったことは大体やったので,その辺に悔いはないのですけれども.毀誉褒貶というのはすごかったですね.日本人というのはどうしてあんなふうに,いろいろ人のことを悪く言ったり――褒められたりもするのですけれど」 バブル退治に乗り出したとして「平成の鬼平」と称された三重野康元中央銀行総裁.彼は自身の日銀生活について細かな回顧を残さずに2012年に死去した.だが,実は,2003年から06年にかけて日銀が部内で行った計20回のオーラルヒストリー