かつての豪快なフォームに、もう戻ることはできない。それは本人も分かっている。だがそれでも、栄光の過去と決別するのは難しい。34歳になった「怪物」はいま、投手としての岐路に立っている。 肉体より精神の問題 松坂大輔の恩師である、横浜高校野球部元部長・小倉清一郎氏が寂しげに語る。 「高校時代の豪快なフォームは、見る影もなくなってしまいました。踏み出す足と軸足の歩幅が狭く、棒立ちのような投げ方。肘も全然上がっていない。我々のような野球関係者だけでなく、素人が見ても違和感のあるフォームでしょう。 私は松坂に親心がありますから、復活してくれるはずだ、と言い続けてきました。コンスタントに試合に出るようにさえなれば、二桁勝利を挙げられる可能性もある、と。でも本音を言えば、それはもう難しいと思っています。仮に年間を通して投げさせてもらっても、4~5勝できれば御の字ではないか。それほど深刻な状況だと感じてい