資金繰り難による企業倒産が増加する中で、金融機関の貸し渋り・貸しはがしにおびえる中小企業が急増している。一方の金融機関側にも、野放図に貸し込めば不良債権問題に苦しんだ過去の二の舞となりかねず、貸したくても貸せない事情がある。政府・日銀は融資円滑化に乗り出したが、その効果は一時しのぎにとどまるとの見方も強い。日本経済を下支えする中小企業が崩壊すれば、全体の地盤沈下は避けられないだけに、金融機関と政府・日銀には一層の工夫が求められる。 ≪区斡旋に応募3倍≫ 「もうお手上げだ」 自動車や測量機器、産業用ロボットのアルミ製部品を作り出す金型の製造を手掛ける「三和特殊精密」(東京都大田区)の武田静男社長は途方に暮れている。「ここ1、2カ月はこれまでに取った仕事で何とか食いつなげるが、来年2月以降の受注がまったくない」といい、打開策も見当たらない。当面の資金繰りのめどはついているが、「この