第170回 買いたくてウズウズしている米国民 ―― 株は底か? 経営コンサルタント 大前 研一氏 2009年4月1日 米国FRBが発表した四半期ベースの資金循環統計によると、2008年12月末の米国民の家計資産は51兆4000億ドル(約5027兆円)であった。2008年9月末からの3カ月で約5兆1000億ドル減少したことになり(約9%の減少)、これは統計を取り始めた1950年以降で最大の減少幅である。また、この減少幅は日本のGDPに等しい。 下の図を見ていただこう。2005年第1四半期からの米国の家計資産の推移をグラフにしたものである。 これを見ると、確かにこのたび(2008年第4四半期)の落ち込みは大きい。とはいえ、見方を変えて左に目を移せば4年ほど前の水準に戻っただけであるともいえる。つまりはここ数年のバブルが是正されたにすぎない、というわけだ。米国経済が大きく傷ついたといっても、