大澤真幸(まさち)・東浩紀「ナショナリズムとゲーム的リアリズム」というのがあって、ひじょうにスリリングで面白かった。 東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社新書)は面白く読んだのだけど、僕にはその「面白さ」をうまくすくいとって言語化する力がないな、と思わせる本だった。でも、たしかにそこには「何か、現在、とても重要な課題」があって、自分もそれを感じている、と思わせるものがあった。 その「何か」に触れるものを、この対談で語られた話題に感じたんである。 大澤は、東の「大きな物語の不在」とは「物語の過剰」なのだとする点について、 〈多文化主義こそ物語の過剰、物語る権利の擁護だから〉だと、自著『ナショナリズムの由来』(講談社)で書いた〈現代的ナショナリズムjの過剰性〉と対応させている。東も〈多様な物語を選べるはずだけれども、結局「この」物語を選んでしまっているという偶有性〉を、ライトノベルや美少