古今、社会形態や政治体制はさまざまな角度から検討され、論じられてきました。その際に指標となるのが「所有」という概念です。しかし「所有」そのもの、あるいは所有権がいかなる概念かということは、意外にもほとんど論じられることがありません。 経済学者のクーター=ユーレンは次のように述べています。「所有権法の伝統的法律学は、理論の欠如で悪名高い。少なくとも、契約法や不法行為法の理論と較べて所有権法の理論が貧弱であることは否めない」。 所有という概念がどのように成立したかは、人がどのようにして言語を獲得したのかというのと同じように、現在では把握しがたいことです。この問題に取り組んだ研究としては加藤雅信先生によるものがあげられます。 加藤先生は、モンゴル、ネパール、アンデス、アマゾン等における土地所有形態についてのフィールドワークを通じて得た知見を元に、文化人類学および経済学的な見地に立ちつつ、次のよう
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