原始、電気製品は服を着ていた。まるで人であった。今、電気製品は全裸である。 まず電話が服を着ていた。家によっては、ダイヤルのところにカバーがかかっているのもあり、なんでわざわざ使いにくくするのか、子供心に不思議だった。 トランジスタラジオやラジカセも黒いビニール製の服を着ていた。僕も一台持っていたが、最初から服がついていた。スイッチやチューニング目盛、スピーカーなど要所に穴が開いていて、防水の役には立たない。何のために着せるのか分からなかったが、附属品なので着せていた。 テレビのような大きな家電は、さすがに服を着ていなかったが、それでも布を上に載せたり、カーテンみたいなのをかけている人はいた。 電気製品ではないが、カメラも革製の服を着ていた。これは、裏蓋から光が入るのを防止する意味もあったようだが、これを付けるとフイルム交換がしにくくなる。 たぶん、これらの物は高価だったから服を着ていたの