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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/PAPIKO2 (1)

  • 秋葉探偵JA

    コトコトと配膳の机が運ばれてくる。今日も1日が始まると思うと陰な気分になる。どんなに気丈に振る舞おうともどんなに絶望に振る舞おうとも明日何が起こるかわからない。それが僕を陰な気分にさせる。終戦になり伯父の口利きで仕事に就き始めて2年、肺に影が差し結核と診断されて10月以来ずっとここにいる。6人部屋の片隅でそっと事を終える。そうするともう何もすることがない。「休むことが仕事だ」と医者は言う。仕事なら何らかの報酬が付くものだと思う。しかし何もない、全く理不尽な仕事だ。喜びも悲しみも何もなくただ耐えるだけの日々。そんな中、奇異な人物が一人だけいた。サワモリヨシコといった名前だったと記憶している。サワさんとかそんな名でよく呼んでいた僕より少し年上の女性だ。彼女はこのサナトリウムの中で光り輝いていた。長く艶やかな黒髪に鼻筋の通ったほっそりとした儚げな顔。いつだったかその黒髪の秘訣は椿油を丹念に

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