米調査会社CB Insightsによると2020年の世界におけるフィンテック企業の調達額は約421億ドル(約4兆4000億円)だった。投資額は2年連続で減少しているものの、今も高水準で推移している。 現在のフィンテックの潮流の原点を探すと08年にたどりつく。この年に発生したリーマン・ショックは世界経済を混乱の渦に巻き込んだ。金融機関の暴走が引き起こした惨事にもかかわらず公的資金の注入で金融機関が救済されたことに人々は怒りを覚えた。米ニューヨークのウォール街では「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」と叫ぶ大規模なデモが繰り広げられた。 人々の怒りが頂点に達したのと同じ時期に、米国西海岸では新たな金融サービスの萌芽(ほうが)が見られた。金融とテクノロジーが融合することで、金融市場に皆が等しくアクセスできるようにする「Financial Inclusion(金融包摂)」