このコラムでも何度か述べてきたように、日銀が続けている異次元緩和によって「悪い金利上昇」が債券市場で発生するリスクが封じ込められているため、日本の財政規律はどんどん緩んできているというのが筆者の見解である。 10月までに衆院選が実施されるという政治スケジュールもあって、与党も野党も財政出動に積極的な姿勢をとっている。これはコロナ禍が始まる前からの話であり、野党だけでなく与党内にも消費減税の主張がある。日本には財政規律の重要性を訴えている主要政党は存在しないといえる。 利払いに充てる国債費などを除いた歳出から、国債発行によらない歳入(税収+税外収入)を差し引いた金額である、国と地方の「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」を2025年度までに黒字化する財政健全化目標を、政府は掲げてきている。 6月に閣議決定される「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)でこの目標年次が先送りされることはなさ