2021年6月11日付の日本経済新聞(以下、日経新聞)に「TSMCが熊本県に半導体工場を建設する検討に入った」という記事が掲載された。TSMCは本件について「コメントできない」としている。だが、経産省がTSMCの誘致に非常に積極的に動いていること、日本における半導体産業の再興のためにさまざまな検討を行っていることは事実である。最近では自民党が「半導体戦略推進議員連盟」を発足させるなど、政治家がいったい何を始めるのか分からないながらも、半導体産業を重要視し始めている。この辺りの動きについて、少し整理してみたいと思う。 下図は、TSMCの地域別売上の推移を示したものである。 2021年第1四半期(1Q21)の実績では、北米向け売上高が67%を占め、アジア向けが17%、中国向けが6%、欧州向けが6%、日本向けが4%になっている。いうまでもなくTSMCにとって最も重要な地域は北米である。米国アリゾ