(塚田俊三:立命館アジア太平洋大学客員教授) 中国の一帯一路は、2013年以来、世界のインフラ市場を席巻してきた。それは、あたかも国有企業を先兵として途上国に送り込み、そのコントラクターとしての戦場での戦いを、後方から国営銀行が支援するかのような連携プレーのなせる業であったといえよう。 当初、一帯一路は多方面から歓迎されたが、プログラムが進むにつれて、綻びが出始めた。特に問題となったのは、債務の返済である。 「支払期限がきた無利子貸し出し、返済は一切無用」 中国の国有企業は、できるだけ大きく稼ぐためにプロジェクトを膨らませて提示することが多く、これに伴う途上国の借入金も巨額となった。このため、数年もすると債務の返済に窮する国が続出した。 深刻な債務危機に直面した途上国は、中国に対し、債務の削減を求めたが、中国側はこれには頑として応ぜず、債務の軽減を図るどころか、むしろ、プロジェクト資産の差