しかし、実は原油価格は10月以降急落している。ガソリン価格もわずかに下がってきているが、原油価格の変動がガソリン価格に影響するまでにはタイムラグがある。それ以上に、ガソリン価格の大半は税金なので、原油価格の影響に気付きにくい構造になっている。 11月12日、米国の原油先物価格指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は瞬間的に1バレル60ドルを割り込んだ。原油価格は2017年春頃から1年半ほど上昇トレンドが続いていた。今回の急落は、わずか1カ月で2017年12月の水準に逆戻りしたことを意味する。 これまでの原油価格上昇トレンドの主な原因は、2017年1月に始まったOPEC(石油輸出国機構)とOPEC非加盟産油国による協調減産によるものだ。その結果、過剰だった原油在庫の調整が進み、2017年6月の1バレル42ドルを底値として、今年10月上旬には1.8倍の76ドルまで上昇した。それ
6月、東京エリアと東北エリアが市場分断するという珍しい現象が発生した。普段は同じ価格がつく両エリアの価格と約定量の差が明らかに。ここから大手電力が自主的取組の一環で実施している「グロスビディング」の影響について考える。市場価格に中立と言われるグロスビディングだが、それは本当だろうか。 6月の卸電力取引市場で興味深い現象が見られた。 6月11~15日の5日間、東京・東北間の連系線(相馬双葉幹線)工事に関連して連系線容量が低下した結果、普段はめったに起きない東京エリアと東北エリアの間で夜間時間帯を中心に市場分断が発生した。それぞれのエリアで異なる市場価格がついたのである。 今回はこの珍しい現象を手掛かりに、大手電力(旧一般電気事業者)が市場活性化策として実施している「グロスビディング」が市場に及ぼしている影響について考察したい。 日本卸電力取引所(JEPX)は、市場分断が発生すると、それぞれの
北九州パワーは、2015年12月に北九州市と地元企業が出資して設立した地域新電力だ。2016年4月に営業を開始し、ちょうど2年が経った。 2016年度の売上高は10億3800万円、経常利益は1億7600万円。そして、2年目の2017年度は、売上高がほぼ倍増の18億6400万円、経常利益は8400万円だった。 北九州市環境局地域エネルギー推進課の石田哲也課長は、「今年の1~2月の猛烈な市場価格の高騰で利益が目減りしたが、それでもしっかり収益を上げることができた。着実な事業運営ができている手応えがある」と言う。しかも、「初年度に1人、2年目でもう1人、プロパーの従業員を雇用することができた」。 なぜ北九州パワーは、2年で20億円規模の事業にまで成長できたのか。市場価格の変動に耐え、収益を上げ続け、雇用を増やすことができたのか。 北九州パワーの事業運営を紐解いてみると、地域新電力が成功するための
化石燃料や金属などの「資源投入」だけでなく、金融や資本など世界の「経済産出装置」も限界に直面しつつある。さらに市場外に蓄積されたCO2排出などの外部不経済が人類や生命をいよいよ圧迫し始める。西洋で始まり世界に広がった工業文明の行き着く先を占う。 工業文明の基盤である現代の資本主義経済は、自然から採取した化石燃料や金属などの資源を市場経済に投入し、経済活動を通して国民総生産(GDP)を増やす循環を繰り返すことで成長してきた。一方で、市場経済の外部に公害やCO2排出などの「不利益」や「損害」が必然のようにつきまとう。 つまり、資本主義経済は、(1)「資源投入」、(2)「経済産出装置」(投資や金融など利益を生み出す仕組み)、(3)「環境破壊」(外部不経済)という結合的な因果関係をもつ根幹的構造によって成り立っている。今回はこれら3つの要素が絡み合いながら変転する「文明」を展望する。 IEA(国際
イタリアの株式市場も、リスクの指標となる国内銀行株を中心に株価を下げた。国債デフォルトに対する保証料率も上昇した。 さらに、イタリアが新たな国際金融危機の引き金を引くのではとの懸念さえ浮上する。特に、再び総選挙が行われ、それが事実上、通貨ユーロに対する信任投票となった場合が危険だ。 イタリアでは今年3月に総選挙が行われ、ポピュリズム政党の「五つ星運動」と極右 の「同盟」が合わせて議会の過半数となる議席を獲得した。我々は総選挙前から既に、市場がこの国の危機にあまりにも無頓着だと警告していた。現在のイタリアの政治危機は一時的なものではない。この国はこれから、抜き差しならないジレンマに国を挙げて直面せざるを得ないのだ。それは、ユーロに縛られ続けるか、それとも経済的、政治的、制度的主権を取り戻すべく努力を始めるか、というジレンマである。 我々は、短期的には、イタリアは妥協しユーロ圏に留まる道を選ぶ
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 中堅新電力のハルエネ(東京都豊島区)は5月11日、ひっそりとサービス内容の変更を発表した。 同社の電力小売りサービスを利用中の法人顧客に対して、2018年8月に料金が請求される7月利用分から、ハルエネ独自の「電源調達調整費」を請求するというものだ。今夏に予想される日本卸電力取引所(JEPX)の価格高騰リスクに供える方策とみられる。 ハルエネは2016年4月の電力全面自由化を契機に新規参入した新電力。携帯電話販売で名を知られる光通信の子会社だ。中小規模の法人をターゲットに、急激に事業規模を拡大してきた。 2018年1月時点の販売電力量は新電力で27位。ただし、低圧部門に限ると6位まで順位を上げる。ハルエネが供給する電力のうち、大部分が低圧部門の
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 石油の採掘コストが上昇し、石油に頼れない時代が来る。だが、日本は脱化石燃料を推進する条件を備えている。19世紀以降、資本蓄積のスピードを競った資本主義による成長を支えたのは、エネルギーが凝縮された安価な石油だった。だが、日本の社会はこれ以上の急激な資本蓄積を必要としていない。史上最低金利(ゼロ金利)がそれを裏付ける――。「資本主義の終焉と歴史の危機」などの著書で知られる、水野和夫・法政大学教授が独自の経済史観から脱石油を説く。 近代はその誕生の経緯からして反近代的である。「無限」の空間と時間を前提とする近代は、「有限」である化石燃料に全面的に依存する社会だからである。化石燃料が無限に使えないとすれば、近代社会が終わるのは必然と言える。 今回は
北海道エリアの卸電力市場価格が、電力需要が減る春になっても高値に張り付いている。北海道地域の新電力は苦しい電力調達を強いられている。高値要因の精査が求められる。 「北海道の卸電力価格は異常な状態が続いている。正常なビジネスができない」。北海道エリアで電力小売りを手がけている新電力幹部は厳しい表情を浮かべる。 冬場、全国的に高騰した電力市場価格だが、3月に入り気温が上昇してからは落ち着きを取り戻し、足元では平穏な“春相場”が続いている。 しかし、北海道エリアだけは別だ。今も異様な高値のままである。 下のグラフは4月25日水曜日受け渡しの北海道エリアプライスとシステムプライス(全国価格の指標)を比較したものだ。北海道の価格は、需要が少ない夜間でも全国価格に比べて数円程度高い。需要が増える昼間時間帯は10円程度高いことも珍しくない。1年の中でも需要が比較的少なく、平穏なはずの春相場においても、北
三木 雄信(みき・たけのぶ)氏 三菱地所を経て、1998年にソフトバンクに入社。2000年に社長室長に就任。孫正義氏の下で、「ナスダック・ジャパン市場開設」「Yahoo! BB事業立ち上げ」などにプロジェクトマネジャーとして関わる。2006年にジャパン・フラッグシップ・プロジェクトを設立し、社長兼CEOに就任。ベンチャー企業から上場企業まで投資すると同時に社外取締役として支援している。内閣府原子力災害対策本部では、廃炉・汚染水対策チーム・プロジェクトマネジメント・アドバイザーとして支援している。『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』(東洋経済新報社)、『孫正義「規格外」の仕事術』(PHPビジネス新書)など著書多数。 三木:僕はソフトバンクの社長室長をしていた頃、孫社長が出席するすべての会議に同席し、稟議書や契約書に捺印するのを全部見ていました。そこで、孫社長を納得させる資料作りを学
日経ビジネス4月6日号の特集「日本を揺るがす新常態 失速中国でも稼ぐ5つの鉄則」の中で、中国・深圳に拠点を置いている日本の貿易会社の話を書いた。 この会社はこれまで、商品を中国から日本に輸出する際、税関職員に「袖の下」を渡していた。習近平指導部が進める腐敗撲滅運動のおかげで、幹部職員が金品を要求することはなくなった。だが、一般の職員たちが幹部がいない時期を見計らって金品を要求してくるようになった。 困ったこの会社は幹部職員が出払ってしまう時間帯には出荷を止めることにした。ところが、顧客の元に予定通り商品が届かないと営業部門が怒り出し、通関業務を担当する部門ともめる結果になってしまった。そんな話だ。 習近平国家主席が進める反腐敗キャンペーンは、中国共産党内部の権力闘争との見方がある。その一方で、中国が1978年に改革開放路線を歩み始めてから大きく広がってしまった格差を是正するためにも、反腐敗
アップル初のスマートウオッチ「Apple Watch」がいよいよ4月24日、世界9カ国・地域で発売される。中国では、スマートフォン(スマホ)iPhone 6は日本や米国から約1カ月遅れで発売されたが、Apple Watchは発売第1弾のエリアに入った。日本では、「これが時計なの? と驚かせるようなアップルらしさや革新性に乏しい」「既存製品を上回る新味がない」「初代iPhoneのような、どうしても欲しい!と思わせる何かがない」など、製品発売前の現時点で出ている反応には、イマイチ、の評価が目立つ。中国での評価も概ね同じ。 ただ、ケースに18金を使い日本での販売価格が128万円(税別)からに設定された最上位モデルの「Apple Watch Edition」は、ゴールドカラーのiPhoneが爆発的に売れた中国を意識したラインアップだとの観測もある。いずれにせよ、今年上半期に出る製品の中で最も注目さ
所詮はすべてが既得権だからねえ。墓は遺骨が土に返るところでしょう。それを宗教だからと言ってしまうのは間違っているということなんじゃあないのかなあ。骨も焼いてくだいて骨粉としてしまえば土に埋めてあっという間に植物の栄養分として循環されてしまいますよね。いつまでも土にかえることを許さない方式の墓がいいのかどうなのか?寺という既得権益でしかないのではないのかなあ?宅配よりも死んだら消費財と言い放った東大に解散命令を出さない方がよほど鬼畜だとも思うし。日本最大の宗教は行政というところも非常におかしなことになる癌そのものだと思うし。天皇を利用して天皇崇拝者も傘下に収めて天皇を利用する政教分離という言葉そのものが嘘。墓があるとその宗教に属した信仰者になどなることもあるわけがない。信仰という言葉を口にする人には信仰の始まりは自分は嘘をつかないと決めることだよねという基本を押さえることから始めると決めてい
IT活用が遅れていた建設業界だが、業界の生産性向上につながる仕組みが登場した。初期段階にバーチャルの建物を構築することで設計や施工のミスを減らすことが可能に。建設業界に達したデジタル化の波は設計、施工、管理という建設ビジネスを変えるか。 「低収益」の典型とささやかれる建設業界。だが、この仕組みは苦境の業界を一変させる可能性を秘めている。 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)。コンピューターの中にバーチャルな建物を構築し、その情報を設計、施工、管理などの全プロセスで活用する考え方のことだ。構造や意匠、仕上げ、価格など建築物に関連する様々な情報を3次元の建物に落とし込んだ「3次元の建築情報データベース」と考えればいいだろう。 数千枚の図面管理も効率化 ゼネコン準大手の前田建設工業は2010年4月、建築設計部門全体でのBIM活用を始めた。清水建設や大成建設などのスーパーゼネコン
鹿児島市内を歩いて、どれだけの人がこのことに気づくだろうか。 「寺が少ない」――。 文化庁の『宗教年鑑』によれば、鹿児島県内の寺院数は489カ寺だ。例えば、鹿児島とほぼ同等の面積の山形県では1485カ寺、また広島県では1737カ寺である。 鹿児島県の人口10万人に占める寺院数(寺院密度)は、29.1カ寺。全47都道府県中の順位で言えば、寺院数が42番目、寺院密度が44番目と、確かに低水準ではある。 廃仏毀釈が激しかった鹿児島県 それには理由がある。 「鹿児島と言えば、西郷隆盛や大久保利通など、明治維新を主導した偉人を輩出した土地柄で一見、華やかな印象があります。ですが当時、この地域が大きなタブーを犯したことは、県民ですらあまり知らない事実なのです。いわゆる廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)です。今でもその後遺症を、鹿児島は引きずっています」 こう語るのは鹿児島県民俗学会会員の名越護さん(72歳)
「中国生活モノがたり」と銘打ったコラムなのだから、年明け第1弾ぐらいは2015年に流行りそうなモノを占うマネゴトでもできないものかと上海の町をあてもなくブラついていたところ、新聞スタンドである雑誌の表紙が目に留まった。「新周刊」という広東省で編集されている雑誌が「2015年贈り物指南」という特集を組んでいて、「キーワードは『目立たず・プチぜいたく』」とぶち上げていた。習近平国家主席が音頭を取って展開している役人のぜいたく禁止キャンペーンを意識したキーワードであるのは明らかだった。ぜいたく禁止キャンペーンとは、豪華な接待や経費の無駄遣い、贈答の自粛をも求めるもので、中国全土で倹約の徹底が叫ばれている。 いいネタ本を見つけたと早速買い求めてパラパラめくってみた。役人に対する贈り物と限定しているわけではなく、予算を100元(1900円)、1000元(1万9000円)、1万元(19万円)、10万元
そう言って私に、ほんの2時間もしない前に起こったシャルリー・エブド新聞社襲撃事件を知らせてくれた。私は外出をとりやめて、着たばかりのコートを脱ぐと、すぐにフィガロ紙のネット版にアクセスをした。 あの津波が日本の東北地方をのみ込んで行く、上空からの映像を見た時のショックには勝らずとも、ネットの速報記事を読みながら、血が引いていくのを感じた。シャルリー・エブド新聞社は、私が住む13区から自転車でも10分ほどの場所。サイレンの音が嫌に多く聞こえてくることにも気がついた。 事件を知らせてくれた隣人の若いマダムは小学校の先生だが、出産したばかりで育児休暇をとって家にいる。夫も小学校の先生で、授業が午前のみの水曜日の午後は、普段なら課外活動のスポーツクラブのコーチをするが、その日の課外活動は急遽中止になって、直ぐ家に戻って来ると言う。 「学校に行っている私の子供たちは、どうしているのだろう」。その日は
その説明から伝わってくる印象は、「時代に合っていない」の一言に尽きます。 今回はこの問題をいつものように動画を見ながら考えてみたいと思います。 ネット動画はアイデアの宝庫、それでは今年もいってみましょう。 消費者に向き合う≠消費者心理を理解する 人生には3つの坂があると言います、と始まるのは結婚式でお馴染みのスピーチで、「上り坂、下り坂、そして、まさかです」と続くわけですが、昨今の企業危機管理においては、この「まさか」に始まる4段階の消費者心理を感じ取る必要があると考えます。 その4段階とは、 (第一段階)まさか? (第二段階)またか? (第三段階)まだか? (第四段階)ダメか。 です。 青森のマクドナルドでチキンナゲットにビニール片が入っていたという事件が報じられた時、同社の対応は決して大きな扱いではなく、その時点では世間のリアクションもそれほど大きくなりませんでした。 ところが、続いて
宇宙ロケットのジャンク屋と聞くと、どんなものを想像するだろうか。 自動車でもコンピュータでもなく、宇宙への輸送手段であるロケットや、宇宙に送り届けられる宇宙船、さらには地上設備のジャンクや余剰品を扱った店舗。 宇宙技術自体は、今に直接つながるものに限定しても1950年代からあるわけだから、ジャンク・余剰品が世に出ていても不思議ではない。しかし、実際に町のジャンク店で、宇宙機を見ることがないのは、今のところ量産される性質のものではないからだろう。それこそ、機動戦士ガンダムの「宇宙世紀」にでもなって、人間が宇宙で日常的に活動しなければ、「宇宙ロケットのジャンク屋」は存在しにくいのだ。 そんな中で、世界でたった一つ専門店が存在している。アメリカ・カリフォルニア州ロサンジェルス近く、ノースハリウッドで半世紀以上も営業を続ける「ノートンセールス」。今となっては、歴史の生き証人ともいえるこの店を、つい
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く