新型コロナウイルスの流行にともない、真偽の不確かな医学情報が飛び交った結果、トイレットペーパーの買い占めや、納豆がスーパーの棚からなくなるなどのことが起こった。 そして、今も、ワクチンにかかわる真偽不明な情報がネットを中心に飛び交っている。ビル・ゲイツがマイクロチップを埋め込もうとしている、mRNAワクチンによってDNAが書き換えられる、など、枚挙にいとまがない。 どうして人は、真偽の不確かな情報を信じてしまうのだろうか? 特別にだまされやすい人がいるのだろうか? 性格の問題だろうか? それとも、単純に知識がないからだろうか? わたしは、昨年末、『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』(翔泳社)という書籍を上梓したが、その中で、「特別な人だけが誤情報を信じるわけではない」と書いた。誤情報にはもともと、信じやすくなるような心理的なしかけがある。占いを信じてしまう人の心理とも似ており、いい人