負債総額4300億円---今年最大の倒産となった安愚楽牧場は、債権者の大半が一般投資家で、返済率が10%に満たないことが予想されるだけに、刑事事件への進展も含め、今後、社会問題化することは必至だ。 「本年3月11日の東日本大震災以降、福島第一原子力発電所の放射線漏れ事故による牛の放牧制限、放射性セシウムの検出による出荷制限等と、同社の経営は大きな制限・打撃を受け・・・」 債権者に送られた代理人弁護士の「通知書」(8月1日付)にはこう書かれていた。「風評被害」も含めて、原発事故の被害者であるという認識で、事実、安愚楽牧場は補償を求める方針を明らかにしている。 「原発」「口蹄疫」「飼料高騰」だけが原因ではない 昨年には宮崎県で口蹄疫問題が発生、安愚楽牧場では約1万5000頭を「殺処分」にした。この時は農林水産省が約88億円を補償、直接の被害は免れたものの、「牛の異状について通報に遅れがあった」