今、そこにある危機 7月12日、オランダのデン・ハーグの国際仲裁裁判所は、南シナ海で中国が主張している領海には根拠がないという結論を出した。国連海洋条約に基づいて行われた司法判断である。 裁判所は、中国が作っている人工島も「島」とは認めなかったし、スカボロー礁周辺などで、中国がフィリピン漁船を妨害したり、攻撃したりしていたのも、国際法違反だとした。 ドイツでもこのニュースはちゃんと報じられた。地図で示された中国が主張しているという境界線はあまりにも不自然だったので、それを見たドイツ人も「あれ?」と思った。ただ、そのあとの中国の動きをフォローしたメディアは少なかった。だから中国が判決を紙くず呼ばわりしたこともドイツ人は知らない。 ある日刊地方紙のネット版が、「中国に圧力をかけるのは逆効果」というタイトルで、「大国は国際判決を無視するものだ、アメリカだって……」といったかなり偏向した寄稿文を載