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2008年8月31日のブックマーク (5件)

  • 夏目漱石の「来」: ほぼ文字についてだけのブログ

    最近、毎日新聞の佐々木泰造という記者が万葉集の難読歌を「解読した」という記事があったのをご存知ですか? そこに、「大相」という文字を分解して「从」(「従」の「正字」とされている)を付けると、「大來目」となる云々の説が述べられています。「相」は「伴」に通じ、「大相」=「大伴」、大伴氏に「従った」のが「大來目」氏だというような歴史の話です。 ところで問題は「來」という字体が日でいつ頃から使われたのかと言うことです。 調べた限りでは、奈良時代から平安時代ぐらいまではすべて「来」と書いています。例外は「新撰字鏡」の見出しに「来」「來」が併記されていますが、辞書の見出しは一般文書とは少し性格が違います。(今でも漢和辞典に載っているだけで誰も使わない漢字がいくつもあるでしょう)。 上の漱石の字体は、さらに古い、聖徳太子の「法華経義疏」や「埼玉稲荷山古墳鉄剣銘」に見られます。百済から来たという「石上神

  • 夏目漱石の「真」: ほぼ文字についてだけのブログ

    トナン・大熊肇の(ほぼ文字についての)覚え書きです。 充分に検証していないこともありますので、眉につばをつけてご覧ください。 連絡先:hajimeアットマークtonan.jp(「アットマーク」を「@」に変えてください) 『文字の骨組み』2刷の間違いとご指摘 『文字の骨組み』初刷の間違いとご指摘 『文字の組み方』訂正箇所

  • 夏目漱石の「隠」: ほぼ文字についてだけのブログ

    トナン・大熊肇の(ほぼ文字についての)覚え書きです。 充分に検証していないこともありますので、眉につばをつけてご覧ください。 連絡先:hajimeアットマークtonan.jp(「アットマーク」を「@」に変えてください) 『文字の骨組み』2刷の間違いとご指摘 『文字の骨組み』初刷の間違いとご指摘 『文字の組み方』訂正箇所 【隠】漱石は伝統的字体を書いています。ただ「ヨ」の一画目に縦線がついているのがちょっと違いますが、これは「正」を意識しているのかもしれません。伝統的字体には旁に「工」がありません。「工」がなくなったのはかなり古く、秦の始皇帝の時代にはすでに「工」のない字が確認できます。 伝統的字体には3つの字体があります。初唐の三大家といわれる虞世南、欧陽詢、チョ遂良はそれぞれ違う字体を書いています。時には同一人物が違う字体を書くこともあります。チョ遂良は、雁塔聖教序では漱石と同じ字体を書

  • 夏目漱石の「仮名」: ほぼ文字についてだけのブログ

    トナン・大熊肇の(ほぼ文字についての)覚え書きです。 充分に検証していないこともありますので、眉につばをつけてご覧ください。 連絡先:hajimeアットマークtonan.jp(「アットマーク」を「@」に変えてください) 『文字の骨組み』2刷の間違いとご指摘 『文字の骨組み』初刷の間違いとご指摘 『文字の組み方』訂正箇所 【か】漱石は「か」ではなくて一貫して変体仮名の「可」を書いています。1900年の小学校令で、仮字は一音につき一字と決まったのですが、6年経った1906年でも変体仮名を書いています。 【な】現在の「な」とは形が違いますが、現在の「な」と同じく元の字は「奈」ですから、変体仮名ではありません。 【そ】基的には現在の「そ」と同じなのですが、かなり傾いているようです。 【た】漱石は、元字を「太」とする「た」は用いず、一貫して変体仮名の「多」を書いています。 【く】これも形は異なりま

  • 夏目漱石の「損」: ほぼ文字についてだけのブログ

    【損】〈きへん〉を〈てへん〉と間違えるのはよくあることですが、〈てへん〉を〈きへん〉に間違えるのはめずらしいと思います。この場合は間違えというレベルではなくて〈てへん〉と〈きへん〉を混同しているのです。旁の「員」の「口」を「ム」で書くのは、伝統的字体の特徴で、「口」を書くことの方がめずらしいのです。 〈きへん〉の基形は(1)のようになるんですが、(2)のようにハライが短く書かれたとしても〈木きへん〉です。ところが筆が入る角度を読めない人が(3)のように書いちゃうと〈てへん〉になってしまいます。間違えも続くと通用するようになってしまいます。