宮下すずか(著)、みやざきひろかず(絵)「ひらがなだいぼうけん」児童文学の芥川賞、第19回椋鳩十児童文学賞を受賞した作品。らっちゃんが本を開いたままにしていなくなると、書かれているひらがながそれぞれ個性をもってしゃべりだしたり動き出したりする話が3本収録されている。のっけから、使用頻度でケンカしていて笑えた。「は」は使用頻度が高くて、忙しい忙しいといいつつ、使用頻度の低いほかの字をバカにしている。当然他の字はその態度にハラをたてる。活字のウマも、使用頻度が高いと、室の広さが露骨に違う(「の/は」は広い)ので、こういう軋轢が積年の恨みとして仮名の間にあってもおかしくない、と思った。文字をテーマにした絵本はいくつかあるが、ここまで各文字のキャラの強くてアグレッシブなのは初めて読んだ。文字っ子必読。本文はリュウミン。