政府が漫画・アニメの振興拠点づくりに向けて動き出した。その源流は、かつて「国営漫画喫茶」との批判を受け幻に終わった計画だ。なぜ今、再燃したのか。 5年後に拠点開設 具体化進む 「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)開設は5年後の2029年めど――。文化庁が8月に設置した有識者会議で、拠点の具体化に向けた議論は急ピッチで進んだ。「メディア芸術」とは漫画やアニメ、ゲームなど近代以降に生み出された娯楽のこと。01年成立の文化芸術振興基本法で芸術として位置づけられた。 文化庁の構想では、センターは複数の施設からなる。一つ目の施設は、漫画やアニメの原画・セル画、ゲームや特撮映画のミニチュアや小道具などの保存・デジタル化施設だ。 「こうしている間にも古い作品が失われていく。デジタル化してみんなが見られる形で残したい。日本の戦後の時期などの作品が見られなくなることは、文化・歴史的にも恥ずかしいことで