展示されたコロナ関連の生活資料を説明する持田誠学芸員=浦幌町で2025年3月1日午後3時8分、鈴木斉撮影 行事中止の告知チラシや手作りマスクの手引--。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いち早く生活資料の収集に動いた浦幌町立博物館が「コロナの時代」を振り返る企画展を始めた。2020年2月末に道が独自の緊急事態宣言を出してから5年余。生活スタイルの変化や外出の自粛などに揺れたパンデミック(世界的大流行)下の庶民の暮らしを見つめ直し、世相を記録する意義を考えるのが狙いだ。【鈴木斉】

展示されたコロナ関連の生活資料を説明する持田誠学芸員=浦幌町で2025年3月1日午後3時8分、鈴木斉撮影 行事中止の告知チラシや手作りマスクの手引--。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いち早く生活資料の収集に動いた浦幌町立博物館が「コロナの時代」を振り返る企画展を始めた。2020年2月末に道が独自の緊急事態宣言を出してから5年余。生活スタイルの変化や外出の自粛などに揺れたパンデミック(世界的大流行)下の庶民の暮らしを見つめ直し、世相を記録する意義を考えるのが狙いだ。【鈴木斉】
政府が漫画・アニメの振興拠点づくりに向けて動き出した。その源流は、かつて「国営漫画喫茶」との批判を受け幻に終わった計画だ。なぜ今、再燃したのか。 5年後に拠点開設 具体化進む 「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)開設は5年後の2029年めど――。文化庁が8月に設置した有識者会議で、拠点の具体化に向けた議論は急ピッチで進んだ。「メディア芸術」とは漫画やアニメ、ゲームなど近代以降に生み出された娯楽のこと。01年成立の文化芸術振興基本法で芸術として位置づけられた。 文化庁の構想では、センターは複数の施設からなる。一つ目の施設は、漫画やアニメの原画・セル画、ゲームや特撮映画のミニチュアや小道具などの保存・デジタル化施設だ。 「こうしている間にも古い作品が失われていく。デジタル化してみんなが見られる形で残したい。日本の戦後の時期などの作品が見られなくなることは、文化・歴史的にも恥ずかしいことで
県から要望に対する回答書を受け取る奈良植物研究会の松井淳会長(右)=県庁で2024年9月10日午前9時16分、稲生陽撮影 奈良県立大が研究者から寄贈を受けて保管していた貴重な植物標本を誤って廃棄した問題で、県は10日、一連の経緯説明と廃棄を陳謝する回答書を、寄贈に関わった奈良植物研究会に手渡した。県は陳謝する一方で「自然史研究・教育を所管する体制がないのに寄贈を受けたことが遠因」として、標本の受け入れ自体に問題があったと説明。今後寄贈の申し出があった場合は国や他の自治体に紹介するとした。研究会メンバーらは「あぜんとする回答で失望した。県として奈良の自然史を次世代に引き継ぐ姿勢が見えない」と憤った。 標本は元高校教諭の岩田重夫氏(1916~88)が晩年までの40年近くをかけて集めた「岩田コレクション」。約1万点の量があり、今では採取できない種や希少種も多く含まれていたという。2001年に寄贈
協定書に署名した山野英嗣・和歌山県立近代美術館館長(右)と全米日系人博物館のアン・バロウズ館長=米国ロサンゼルスで2024年5月、和歌山県立近代美術館提供 県ゆかりの渡米画家の作品や資料を積極的に収集してきた県立近代美術館(和歌山市)は、全米日系人博物館(米国ロサンゼルス)と姉妹ミュージアム提携を締結した。2022年から協力している調査研究や展覧会、教育普及事業などで関係性をさらに強めていく。他館と姉妹提携を結ぶのは両館とも初めて。【加藤敦久】 近代美術館は1970年の開館当初から太地町出身で米国で活躍した洋画家の石垣栄太郎(1893~1958)ら県ゆかりの芸術家の作品収集を軸に据え、継続的に研究してきた。和歌山市出身で、第二次世界大戦中に送られた日系人収容所を描いたことで知られる米国移住の洋画家、ヘンリー杉本(1900~90)の作品も所蔵する。近年、美術作品の研究だけでなく、美術から見た
関東大震災(1923年9月1日発生)で起きた朝鮮人集団虐殺について、同年11月に当時の陸軍省が行った実態調査の一部資料が、防衛省防衛研究所史料室で新たに見つかった。現在の埼玉県熊谷市内で保護のため警察署へ移送中の朝鮮人四十数人が「殺気立てる群衆の為めに悉(ことごと)く殺さる」などと報告。事件を「鮮人(朝鮮人の蔑称)虐殺」「不祥事」「不法行為」と表現し、「鮮人の襲来は遂(つい)に一名も来なかった。火付けもなかった。毒を(井戸に)投げ込まれた事も聞かない」との記述もある。 【関連記事】 解説:”暴走“の民衆心理、慎重に解明を 朝鮮人虐殺の政府文書発見 識者の見方:国家ぐるみの隠ぺい浮かぶ 朝鮮人虐殺裏付ける政府の新文書 官房長官は政府記録の存在否定 資料の存在は、震災直後に政府が違法な虐殺の事実を認識し、広範な調査を実施していたことを示している。今年8月、当時の松野博一官房長官は記者会見で事件
必要な論文が読めない――。学術誌の購読料が高騰し、購読契約を打ち切る大学が出ている。それならばと近年、論文をインターネット上で無料公開する見返りに「掲載料」を取る出版社が増え、研究者から「二重取りだ」と不満が高まっている。 学問の成果は人類の共有財産ともいうべきもの。「出版社はもうけすぎ」との批判も聞かれる。出版社側はどう考えているのか。国際科学誌のトップに君臨する「ネイチャー」発行元の日本法人社長を直撃した。 「研究者サポートが役割」 取材に応じたのは、英国とドイツに拠点を置く学術出版大手「シュプリンガーネイチャー」の日本法人社長、アントワーン・ブーケ氏。東京都港区の同法人オフィスでインタビューすることができた。 「私たち出版社の役割は研究者のサポートだ。研究者が研究し、迅速かつ効果的に出版できるよう支援するサービスを提供している」。穏やかな口調で切り出したブーケ氏はこう続けた。「研究サ
「どなたでも歓迎」。インドの首都ニューデリーの住宅街にある図書館の掲示板には、そんな張り紙が張ってある。「すべてのカースト、階級、宗教、ジェンダーと性自認、障害を持つ人々を歓迎します」と張り紙の記述は続く。 ここは、カーストによる差別に反対する市民団体「コミュニティー図書館プロジェクト」が運営する図書館だ。利用者が思い思いに本を読んだり、スタッフが幼い子どもらに読み聞かせをしたりする風景は、日本の図書館と変わらない。しかし、冒頭の張り紙が必要なのは、インドの身分制度「カースト」外の最下層に位置付けられる「ダリット(不可触民)」が読書の機会を奪われてきた歴史があるからだ。 自身もダリットの貧困家庭出身である図書館スタッフ、バーブナさん(40)は「私は都会であるニューデリーで育ちましたが、家には電気も水道もありませんでした」と振り返る。貧しさから両親は教育を受けられず、読み書きもできなかった。
福井大教授が千葉大教授など複数の研究者と協力し、投稿した学術論文の査読に自身が関与する「査読偽装」をした問題で、日本学術会議は25日、「研究不正に関する国のガイドラインの改定や内容の追加を検討すべきだ」などとする報告書を公表した。 査読とは、学術誌に投稿された論文をその分野の別の専門家が読んで内容の妥当性をチェックし、掲載の可否を判断する審査。福井大と千葉大は2022年12月、両大の教授らが協力して論文の査読で不適切な行為をしたと認定した。これを受け、文部科学省は学術会議に審議を依頼していた。 学術会議は報告書で、想定される不適切な行為として、「互助会的グループ」で互いを査読者に推薦して甘い査読をする▽査読を依頼された研究者が著者に連絡をとり、著者が自分で査読をする▽実質的に査読をしない粗悪学術誌「ハゲタカジャーナル」の存在――など8項目を挙げた。
活用されず、放置されたままの旧明石市立図書館=兵庫県明石市の県立明石公園で2023年8月31日午後3時9分、入江直樹撮影 兵庫県立明石公園(明石市)内の旧市立図書館が活用されずに空き施設となっている問題を巡り、斎藤元彦知事は12日、泉房穂・前市長のX(ツイッター)への投稿内容を否定し、「誤った内容が数十万人に拡散したのは恐ろしいことで大変遺憾だ」と述べた。 泉氏のXには12日時点で約51万2000人のフォロワーがいる。泉氏は11日夕、「斎藤知事から明石市に本日、お詫(わ)びの電話があったとのこと。『県からの提案が遅れていて申し訳ない。明石市が検討していただけるなら、ありがたい』との趣旨だったようだ。マスコミの皆さん、よく確認のうえ、報道してくださいね。悪いのは、明石ではありません」と投稿していた。既に投稿は削除されている…
「アート作品活用・保全検討チーム」初会合の冒頭で発言する吉村洋文知事(右奥)=大阪市住之江区で2023年8月18日、山田夢留撮影 大阪府所蔵の美術作品105点が咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)の地下駐車場に置かれている問題で、府は18日、専門家らで作る「アート作品活用・保全検討チーム」の初会合を同庁舎内で開いた。吉村洋文知事は会議の冒頭で「今月中に地下駐車場の作品の移転に着手する」と表明。移転先は府有施設を検討しているという。チームは今後、105点を含む府コレクションの活用や保全について協議し、今秋に中間報告、来年2月ごろに最終報告をとりまとめる。 チームは山梨俊夫・前国立国際美術館館長が座長を務め、鷲田めるろ・十和田市現代美術館館長、木ノ下智恵子・大阪大21世紀懐徳堂准教授と、上山信一・府特別顧問が出席。府側からコレクションの収集経緯や現在の保管・展示状況などについて説明を受けた。
老舗酒造会社「来福酒造」(茨城県筑西市村田)は24日、隣接する国の登録有形文化財「旧尾見家住宅」を改修した古民家カフェ「OMI CAFE(オミ・カフェ)」をオープンする。同社は約300年前、同家の土地を譲り受けて創業した。同社社長で10代目蔵元の藤村俊文さん(51)は「来福酒造と尾見家の歴史を未来に紡ぎ、時を超えた恩返しがしたい。地域おこしにもつながれば」と話している。 同家は江戸時代から吉間村(現筑西市)の地主で、1892年発行の「大日本博覧図」にも紹介された名家。同社の前身「近江屋」は1716年に、江戸幕府に酒を献上するために近江(現滋賀県)から移り、同家から土地を譲り受けて酒蔵を設置した。良質な水と酒造りに適した気候が決め手だったという。
(中公新書・1012円) 人々の「知」の裾野を支える機関と実感 本と図書館が大好きな我らが同志にとって、たまらない本だ。 国会の隣にある国立国会図書館東京本館。この場所を知らない人でも、今やオンライン登録しさえすれば、約184万点のデジタル化済みの図書や資料が、自らの端末で全部読める時代となった。国会図書館は東京本館のほか、関西館、国際子ども図書館の3館で構成され、本書がその全貌を解き明かした帝国図書館の昔日の姿は、上野にある国際子ども図書館の建物によって偲(しの)ぶことができる。 本書は、国家が運営する図書館の歴史を、1897年の官制で設置された帝国図書館を核に描く。現在は大学で日本近代史を講ずる著者は、国立国会図書館での勤務経験があり、1948年に設立された同図書館、その前史としての帝国図書館、そのまた前史としての東京書籍館等の複雑な変遷を丁寧にたどる。図書館に割く予算を一貫して渋って
公立学校の教員に残業代が支給されないのは労働基準法違反だとして、埼玉県の公立小学校の男性教員(64)が、県に未払い賃金約240万円の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は8日付の決定で、教員側の上告を棄却した。公立学校教員の賃金支給は教職員給与特別措置法(給特法)で定められているが、同法とは別に労基法に基づく残業代の請求はできないとして教員側を敗訴とした1、2審判決が確定した。 小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べて教員側を敗訴とした詳しい理由を示さなかったが、2審の給特法の解釈に不合理な点はないと判断したとみられる。裁判官4人全員一致の判断。別の教員が今後同様の訴訟を起こしても、残業代が認められる可能性は低くなった。
約10万人が犠牲になった東京大空襲について、東京都が1990年代に収集した体験者の証言映像や資料が非公開のままになっている。都が平和祈念館設立を構想し、都民らに呼び掛けて集めたが、構想は凍結状態となり、既に20年以上が経過している。ほとんどの資料は倉庫の中で眠っている状況で、戦争体験者らから活用を求める声が上がっている。都は2023年度に、資料のデジタル化に乗り出し、活用方法を模索する。 都は遺品の寄贈などで5000点を超える資料を集め、空襲体験者330人の証言ビデオも撮影した。しかし、同館の建設構想について、歴史認識のあり方を巡り議論となり、都議会が1998、99年に「都議会の同意を得た上で実施すること」との付帯決議を可決した。2001年以降は同意を得た9人分の証言ビデオと一部の遺品のみが毎年3月に都内で開かれる空襲資料展で公開されている。
戸田東小学校・中学校を視察後、関係者と写真に納まる岸田文雄首相(中央)=埼玉県戸田市で2023年2月10日午前10時47分(代表撮影) 政府は10日、持ち回りの新型コロナウイルス感染症対策本部で、マスク着用ルールを、3月13日に緩和すると決めた。屋内外を問わず、着用するかどうかは個人の判断に委ねる。一方で、周りの人に感染を広げないため、医療機関の受診時や通勤ラッシュで混雑した電車の乗車時などは着用を推奨する。学校では、4月1日から着用を求めないことを基本とし、それ以前に行われる卒業式でもマスクなしを許容する。 感染症専門家、緩和自体に慎重論 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」へ移行するのに先立って、マスク着用ルールを3月から緩和することが決まった。議論の経過をたどると、岸田文雄政権が、早々と「脱マスク」に踏み切った欧米を意識し、平時移行の象徴になると捉えて前のめり
非正規の図書館職員の女性がツイッターで始めた署名運動が話題を呼んだ。けれども地方の非正規公務員の実態はまだ十分に知られているとはいえない。 いつのまにか急速に 地方公務員の非正規化は急速に進んだ。図書館職員の例でいえば1987年の統計をみると1割が非正規で9割が正規だった。これが5年ごとに10%ずつ逆転し、現在は2割が正規で8割が非正規になっている(文部科学省調査より)。 これだけ急速に進んだにもかかわらずそのことが世の中ではあまり認識されていない。理由の一つは、非正規化を進めている人たちにとって不都合な真実だからだ。 地方公務員数のピークは94年の約328万人だ。そこから約15%、約48万人減って約280万人(2021年)になっている。しかし、その間、地方公務員の仕事はむしろ増えている。 生活保護受給世帯が増え、児童虐待も増えている。生活困窮者の自立支援、消費生活相談、DV相談など新しい
近年、米国では「Z世代」の若者を中心に、表現の自由に対する疑問が広がりつつあるという。 これは日本でも同様で、他人を攻撃し、あるいは差別・偏見を助長することを、表現の自由の名のもとに野放しにしてよいのかという声はしばしば聞かれる。 筆者自身の最近の経験でも、大阪駅に掲出された広告ポスターについて、ある元国会議員が「性の商品化」だと指摘した件について、(本紙ではない)記者から取材を受けた。そこでは、巨大ターミナル駅の構内という公共空間において、女性蔑視的ともとられるイラスト(もっとも、この件ではイラストが性的なものといえるかどうかについても異論があった)を大々的に掲示することが許されるのかが問題となった。 公共空間での表現の限界については二つの相反する考え方がありうる。公共空間だからこそ最大限の自由を、という考え(以下①とする)、公共空間だからこそ誰もが傷つかない表現を、という考え(以下②と
東京都練馬区で晩年を過ごした植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)の書斎を再現するプロジェクトが区立牧野記念庭園(同区東大泉6)で進んでいる。牧野が数多くの蔵書に囲まれながら、観察した植物の描画や著書執筆にいそしんだ書斎をよみがらせる計画で、今年4月の公開を見込んでいる。【南茂芽育】 牧野は高知県出身。幼い頃から無類の植物好きで、1500種類以上の植物を命名し、約40万枚の標本を収集したとされる。 晩年の約30年間を過ごした区内の自宅では、書斎や書庫に籠もって研究や執筆をした。区は牧野の没後、自宅を牧野記念庭園として開放し、この書斎や書庫の一部、計約12畳のスペースに牧野が使用した机などの調度品を置いて書屋展示室にしている。
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