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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (310)

  • ツイッターからXへ...もはや悲しい抜け殻に...イーロン・マスクのせいで「劣化」したこれだけの機能や要素

    マスク率いるXは投稿の監視も広告も、ニュース提供も問題だらけ    PHOTO ILLUSTRATION BY YUKAKO NUMAZAWAーNEWSWEEK JAPAN; SOURCE IMAGES: NATHAN LAINEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES (MUSK), SHAUNL/ISTOCK (CLOUD), ILLUSTRATION BY DUNCAN1890/ISTOCK (BIRD) <衝撃の巨額買収、突然の名称変更──謎と混乱だらけの1年間に起きた劣化現象(といくつかのプラス面)を検証> 人が望んだ結果ではなかった。それでも2022年10月28日、イーロン・マスクのツイッター買収は完了した。 この世界一、二を争う富豪が買収を提案したのは昨年春。約440億ドルで入札に成功したものの、数週間後には重大な間違いを犯したことに気付き、どうにかして買収合意を撤回

    ツイッターからXへ...もはや悲しい抜け殻に...イーロン・マスクのせいで「劣化」したこれだけの機能や要素
  • ファクトチェックの老舗Snopesの剽窃事件の裏にある問題

    ファクトチェック機関の収入源は限られており、フェイスブックやグーグルはそこに甘い餌を撒いているmillionsjoker-iStock <ファクトチェック老舗Snopesが他社の記事を剽窃していたことを報じた。もっとも信頼できるメディアとみなされてきたので、このニュースはファクトチェック関係者に衝撃を与えた...... > 2021年8月13日にBuzzFeedNewsがファクトチェック老舗Snopesが他社の記事を剽窃していたことを報じた。New York Timesもこの事件を取り上げ、剽窃が60件だったことを伝えた。剽窃を主導していたのは創業者でCEOのDavid Mikkelsonだった。Snopesはファクトチェックの草分けであり、もっとも信頼できるメディアとみなされてきたので、このニュースはファクトチェック関係者に衝撃を与えた。問題となった記事はファクトチェックではなく、同サイ

    ファクトチェックの老舗Snopesの剽窃事件の裏にある問題
  • 犯人を予測する予測捜査システムの導入が進む日米 その実態と問題とは

    映画『マイノリティ・レポート』やアニメ『PSYCHO-PASS』の世界を彷彿とさせる...... REUTERS/Aly Song <犯罪の発生場所や内容、犯人を予測する予測捜査システムの導入がアメリカ、日で進んでいる。その実態は...... > 前回はアメリカと日の警察が利用している顔認証システムを中心にご紹介した。どちらも民間組織と協力して顔認証システムによる監視体制を整えつつあった。 今回ご紹介する予測捜査(Predictive Policing)ツールは文字通り犯罪の発生場所や内容、犯人を予測するシステムである。映画の『マイノリティ・リポート』やアニメの『PSYCHO-PASS』を彷彿させるが、やっている警察は気で効果があると考えているし、民間企業は新しいビジネスとしての可能性を大いに感じている。アメリカではFBIはもちろん各地の警察が導入している。日の警察でも検討が始まっ

    犯人を予測する予測捜査システムの導入が進む日米 その実態と問題とは
  • 「オーストラリアが感染ゼロ戦略を断念」という話の真相

    ロックダウン中は、一部の公園の遊具が閉鎖されるところも… (Credit:Thurtell-iStock) 『豪首相、「感染ゼロ戦略」を断念』という見出しの日語記事が出たことで、Twitterを中心にSNSでは、オーストラリアはゼロ戦略を諦めた...という話題でもちきりになった。 記事にはこうある。 オーストラリアのモリソン首相は22日、厳格な国境封鎖やロックダウン(都市封鎖)によって新型コロナウイルスの「市中感染ゼロ」を目指す戦略を断念したことを認めた。・・(略) 「都市封鎖を永遠に続けることはできない。どこかの段階でギアチェンジをする必要がある」と述べた。・・(略) この記事の内容だけだと、オーストラリアの国内事情を説明しておらず、一足飛びに「もう感染者数にはこだわらず、感染蔓延していてもロックダウンはせずに、ウィズコロナに方針転換する」かのような印象を受ける。そのため、「オーストラ

    「オーストラリアが感染ゼロ戦略を断念」という話の真相
  • ナショナリズムを刺激する「軍艦島」の、世界遺産としての説明責任は重い

    世界から見れば「軍艦島」は日の世界遺産の中でもそれほど重要な位置付けではないが、日人にとっては特別な意味を持つ ziggy_mars-iStock. <明治日の産業革命遺産が輝かしく見えるのは、日の「国民史」においてそう位置付けられているからだ。「世界遺産」なら、「国民史」の枠組みを離れて韓国やさらにはそれ以外の国の人々にも通じる説明が必要だ> 去る6月15日、東京都内にて「産業遺産情報センター」の公開が再開された。3月31日に開館した同館であるが、同日の開所式直後から新型コロナウイルスの蔓延により臨時休館を余儀なくされていたから、この日が事実上の開館だったという事になる。 その名称からも明らかな様にこのセンターは、2015年に正式登録されたユネスコの世界遺産「明治日の産業革命遺産:製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に関わる内容を展示するものであり、同センターはその為の研究機能をも併せ

    ナショナリズムを刺激する「軍艦島」の、世界遺産としての説明責任は重い
  • カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは

    What Is the 'Incel' Movement? Canadian Incel Teen Charged With Terrorism <女性が自分と性交したがらないために「不意な禁欲」を強いられている。自分が不幸なのは、女にモテる男や、モテる男になびく女のせいだという身勝手な考えに基づく犯罪が増加している> カナダで2月に起きた女性刺殺事件に関連して、現地の警察は5月19日、10代の少年を殺人ではなくテロ容疑で起訴した。少年は、女性蔑視主義者「インセル」の運動の影響で事件を起こした可能性があると判明したからだ。インセルとは、「不意な禁欲主義者(involuntary celibate)」の略で、恋人がいなくて禁欲を強いられているのは女性のせいだ、と考えるオンライングループの男性を指すことが多い。 容疑者(未成年のため身元非公表)は2020年2月、トロントにある風俗店で複数の

    カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは
  • 移民はまとめて「聖域都市」へ、トランプの奇策に問題点

    <移民に寛容な民主党支持の地域への強制移住案は、地方と中央が対立する米連邦制度の質を突いているが> トランプ米大統領は4月12日、不法移民をいわゆる「聖域都市」に移送する考えをツイッターで表明した。自らの移民政策に非協力的な民主党にしびれを切らした格好だ。 「民主党が危険な移民法を変えたがらないから、不法移民を聖域都市だけに移住させることを真剣に検討している。過激な左派は開かれた国境を歓迎しているようだから、喜ぶはずだ!」 「聖域都市」は政府の公式な用語ではなく、法的な定義があるわけでもない。だが国の方針に従わない不法移民に寛容な地域(都市に限らず郡や州の場合もある)を指す言葉として、このところ頻繁に使われている。 この問題は、連邦政府と各地方当局が法の執行をめぐって対立関係にあるアメリカの連邦制の質を突く。両者の関係については、オンラインメディアVOXのダラ・リンドの説明が最も分かり

    移民はまとめて「聖域都市」へ、トランプの奇策に問題点
  • 有名画家の伝説に疑問? ナチスへの傾倒が明るみに出て、メルケル首相もエミール・ノルデ作品を排除

    ノルデがナチスに傾倒していたと思われる時期のバイキングがモチーフのとした水彩画「女主人とよそ者」1938年 © Nolde Stiftung Seebüll, Foto: Dirk Dunkelberg, Berlin <ベルリンでドイツの画家、エミール・ノルデの大規模な展覧会が開催されている。ナチスに迫害されたと芸術家として知られてきたノルデだが、この展覧会では最近の研究からわかったナチスへの深い傾倒の事実に焦点を当てており、反響を呼んでいる> 4月12日から、ドイツ表現主義を代表する画家エミール・ノルデの展覧会が、ベルリンの現代美術館ハンブルガー・バーンホフで始まった。開幕の直前、アンゲラ・メルケル首相は、自分のオフィスに飾っていたエミール・ノルデの「くだけ波」「花の庭」の2作品を取り外したと、ドイツの国際公共放送ドイチェ・ヴェレや独ターゲスシュピーゲル紙など数々の媒体で大きく報道され

    有名画家の伝説に疑問? ナチスへの傾倒が明るみに出て、メルケル首相もエミール・ノルデ作品を排除
  • レゴ好き集まれ! 本誌公式Instagram & Twitterで「♯レゴのすべて」投稿キャンペーンを実施

    誌特別編集ムックの最新刊「レゴのすべて」は、レゴブロックの誕生から60年を記念したスペシャル企画です。レゴの歴史や製造の舞台裏はもちろん、驚異のレゴアートや人気シリーズを紹介、さらにデンマークの社も訪ねました。今回ニューズウィーク日版では、ムック「レゴのすべて」を読んだ人も、これから読む人も、レゴが大好きなら誰でも参加できるInstagram & Twitterキャンペーンを実施します。 「♯レゴのすべて」Instagram & Twitterキャンペーンへの参加は簡単、InstagramやTwitterでニューズウィーク日版公式アカウントをフォローし、下記のいずれかのテーマに関して投稿してください。その際に「♯レゴのすべて」を付けることをお忘れなく。抽選で100名様に、レアな「レゴ ニンジャゴー カイのファイヤードラゴン【30422】」をプレゼントします。ぜひ、編集部にあなたのレ

    レゴ好き集まれ! 本誌公式Instagram & Twitterで「♯レゴのすべて」投稿キャンペーンを実施
  • 村上春樹の小説を僕が嫌いな理由

    <奇妙な展開だらけの村上作品の世界的ヒットは特徴ある商品が上手に売られている感じ――文芸評論家でもない一読者としての私的作家論> 話のできる、未来を見通すカエル、謎の羊、消滅する象。時間移動、パラレルワールドの扉、消える語り手......。 これを読んで「もっと聞かせて!」と思った人は、きっと村上春樹の小説のファンだろう。逆に、わずかでも現実に起こりそうなことを書いた小説が好きな人なら、僕と同じく、あんなバカバカしくて不合理な話を、この分だと結末もまともではないなと思いながら何百ページも読む気にはならないはずだ。 村上が世界的な現象であることは確かだ。彼のは大ヒットし、数十の言語に翻訳されている。 村上は、僕がロンドンのバスやニューヨークの地下鉄の中でその作品を読む人を目撃したことのある唯一の日人作家だ。大江健三郎や谷崎潤一郎を読んでいる人など一度だって見たことはないが、村上を読む人

    村上春樹の小説を僕が嫌いな理由
  • 安倍首相はロシアの「有益な愚か者」か プーチン大統領のプロパガンダ戦争

    クレムリンで日の安倍晋三首相との会談に向かうプーチン露大統領(2017年4月) Sergei Karpukhin- REUTERS [ロンドン発]「英国に到着したロシア人から空港でいわれなきチェックや質問を受けたという苦情が数週間前から電話で寄せられるようになった」。アレクサンドル・ヤコヴェンコ駐英ロシア大使は5月16日、こう英メディアに訴えた。 英イングランド南西部ソールズベリーで2カ月前、ロシアの元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんが猛毒の神経剤ノビチョクで暗殺されそうになった事件を引き金に英国とロシアの関係は冷戦以降、最悪の状態に陥っている。 ロシアで逮捕され、スパイ交換で英国に定住したセルゲイ氏は危篤状態を抜け出したものの、今も病院で治療を受ける。一方、ユリアさんは退院して安全な場所に身を隠している。 セルゲイ氏は最近まで旧ソ連圏諸国のチェコやエストニアの情報機関

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  • カタルーニャ騒然、前州首相プッチダモン身柄拘束の意味

    プッチダモン前首相の身柄拘束に抗議する独立派の大規模デモ。機動隊の前で「政治犯釈放」の旗を掲げるデモ参加者(3月23日、バルセロナ) Photograph by Toru Morimoto <プッチダモン前州首相がドイツで身柄拘束。スペインに身柄が引き渡されれば「国家反逆罪」で裁かれることになり、独立派の抗議行動でカタルーニャは揺れている> 3月25日、カタルーニャ州前首相カルラス・プッチダモンが、ドイツで身柄を拘束された。数日前からフィンランドで会議などに出席していたプッチダモンに対して、スペイン政府が「国家反逆罪」の容疑で国際逮捕状を再発行していた。 カタルーニャの独立派主要議員たちは、昨年10月の住民投票の結果を受けて独立を採択して以来、スペイン政府から過酷な三者択一を迫られてきた。 議員を辞めますか? 刑務所に行きますか? それとも、「亡命」しますか? まず、スペイン政府は、カタル

    カタルーニャ騒然、前州首相プッチダモン身柄拘束の意味
  • 危険度を増す「米中ロ」の勢力圏争い──21世紀版グレートゲームの構図

    共に独裁色を強めるロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席 Mikhail Klimentyev/Kremlin/REUTERS <トランプ、習近平、プーチン──3人とも外国への不信感を隠さず、外部からの批判は意に介さず、敵を排除して権力を集中させることを厭わない。21世紀のこの時期にこの3人が大国のリーダーとして顔をそろえた歴史的な意味は何か> 2018年は米中ロで権力者がそれまで以上に権力を集中させる転機になっています。中国では3月に習近平体制の延長を念頭に国家主席の任期が撤廃され、同月ロシアでは大統領選挙でプーチン氏が圧勝。米国では「穏健派」ティラーソン国務長官が解任され、トランプ大統領が異論を認めない傾向をさらに強めています。 強引なまでのリーダーシップのもと、米国は自ら作り上げた自由貿易体制から撤退し始めるなど、これまで以上に一国主義的な姿勢を強め、中ロは時に歩調を合わ

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  • フェイスブックの炎上と映画が発端でノルウェー政権解体の危機

    Facebook投稿が原因で、政権が解体するかもしれない。SNS時代ならではのありえない話が、ノルウェー国会で現実味を増している。 ノルウェーには、過激な発言で計算された炎上戦略をする政治家がいる。 右翼ポピュリスト政党「進歩党」のシルヴィ・リストハウグ法務・危機管理・移民大臣だ。 進歩党の総会でスピーチするリストハウグ氏 Photo:Asaki Abumi ノルウェーの「また炎上してる」人 進歩党の「プリンセス」と称えられる、次期党首候補だ。 過激な言動、卓越されたメディア操作、ナショナリズムファンが集うFacebook個人ページを使い、ノルウェーの世論を二分させている。ワシントン・ポスト紙には「ノルウェー版ドナルド・トランプ」とも名指しされたことがある。 昨年、総選挙で中道右派政権が継続することになったばかり......のはずが ノルウェーは、2013年から保守派陣営が政権を担っている

    フェイスブックの炎上と映画が発端でノルウェー政権解体の危機
  • エルサレム移転を前に報じられる驚愕「トランプ和平案」の中身

    3月1日、ファタハの会合でコーランを読み上げるパレスチナ自治政府のアッバス議長(中央) Mohamad Torokman-REUTERS <5月、イスラエル建国70年に合わせて米大使館をテルアビブからエルサレムに移転する計画のトランプ政権。近く独自の中東和平案を公表するとみられているが> 米国務省が5月にイスラエル建国70年に合わせて、在イスラエル大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転すると発表した。トランプ大統領が昨年12月初めにエルサレムをイスラエルの首都と認定したことを受けたものだ。 米国は当初、大使館の移転は2019年と言っていたが、前倒しとなった。国連総会はトランプ大統領の発表を「無効」とし、撤回を求める決議を圧倒的多数の賛成で採択したが、トランプ大統領は国際社会の反対を押し切って強行する構えだ。 1948年の第1次中東戦争は、イスラエルにとっての建国であるが、パレスチナ人

    エルサレム移転を前に報じられる驚愕「トランプ和平案」の中身
  • お金になりそこねた日本の「電子マネー」

    <2001年にEdy、2004年におサイフケータイが登場し、電子マネーの技術では世界の先頭を走っていたはずの日で、電子マネー乱立の事態を招き、キャッシュレス化が進まないのはなぜか。どうしたら真の電子マネーを普及させ、そのメリットを享受することができるのか> 日で2017年の1年間に利用された電子マネーの総額は5兆2000億円ほどだった(日銀行決済機構局「決済動向」)。一方、中国で2016年10月~2017年9月の1年間に利用されたスマホ・マネーの総額は1700兆円、実に日の320倍である(iResearch調べ)。 同じものどうしを比較してないじゃないか、という批判はごもっともである。日のほうはICカードやおサイフケータイを通じて使われた交通系電子マネー、楽天Edy、nanaco、WAONの支払額(ただし乗車に使われた分は含まない)、中国のほうはスマホを通じた支付宝(Alipay

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  • 北朝鮮「スリーパー・セル」を恐れる必要はない

    <ターゲット国の社会に溶け込む工作員は、殺人や妨害活動を目的としているのではない> 北朝鮮はおそらく、日の社会にスリーパー(潜伏スパイ)を送り込んでいる。また、イギリスのタブロイド紙デイリー・メールが薄っぺらな記事で指摘したように、北朝鮮は暗号化されたメッセージをスパイたちに送っているようだ。 だが、スリーパーがテロリスト化するだろうか。 日の国際政治学者・三浦瑠麗が、もし北朝鮮との戦争が始まり、最高指導者の金正恩が「殺されたのが分かったら、一切外部との連絡を絶って、都市で動き始めるスリーパー・セルというテロリスト分子がいる。ソウルでも、東京でも。もちろん大阪でも」と、テレビでコメントしたという。 冒頭で述べたように、日北朝鮮のスリーパーがいること、そして北朝鮮が(日だけでなく)各国にいるスパイに向けて暗号メッセージを送っていることはおそらく事実だろう。だが、日にいる北朝鮮のス

    北朝鮮「スリーパー・セル」を恐れる必要はない
  • GDP粉飾疑惑を追う

    <最近、中国の地方政府がGDPの粉飾をカミングアウトしはじめた。かつては経済運営の成功をアピールしたがった地方政府が、苦しい財政事情からみせかけの成長率を下げてでも補助金を獲得する必要が出てきたからだ。結局、統計が政治的目的を達成する手段になっていることは変わらない> 今年1月26日の日経済新聞は、中国の地方政府が経済統計の水増しを相次いで修正していると伝えた。とりわけ天津市の経済規模が水増しの是正によって2割も減った、という。 これを読んで、さもありなんと思った。中国の地方政府が発表するGDP(域内総生産。正しくはGRPだが、中国の慣例に従って"GDP"と呼ぶことにする)の統計は多かれ少なかれ粉飾されている疑いがあるが、なかでも天津市のそれはかなり怪しい。 なにしろ天津市の統計に従えば、天津市の一人あたりGDPは2011年に北京市、上海市を抜いて全国トップとなり、それ以来、2015年ま

    GDP粉飾疑惑を追う
  • 独立直後のイスラエルが行ったパレスチナ人の「民族浄化」を告発する

    2018年2月6日、ガザの病院に病気の子を運び込むパレスチナ人女性 Mohammed Salem-REUTERS <70年前、イスラエル建国後に起こった第1次中東戦争では何があったのか。ユダヤ人歴史研究者による『パレスチナの民族浄化』が実証的に検証する自国の戦争犯罪と、中東和平への希望> 今年は1948年の第1次中東戦争でイスラエルが建国され、パレスチナ難民が国際問題化して70年の節目である。最近では2017年12月にトランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことで国際的に強い反発が起きた。 20世紀最大の負の遺産と言われるパレスチナ問題だが、過去の歴史ではなく、なお中東と世界の平和を脅かす国際問題であることを印象づけた。 25年前の1993年にイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)が合意したパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)が崩れ、ブッシュ大統領、オバマ大統領の和平プロ

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  • 自分のクローンを作って爆発的に増える新種のザリガニ

    <北米からペットとしてドイツに渡った普通のザリガニが、わずか5年で驚くべき進化を遂げた。このままだといずれ地球を覆いそうだ> ザリガニ(クレイフィッシュ)の仲間のほとんどは、人間と同じ方法で繁殖する。セックスをするのだ。ところが、ペットから進化を遂げたあるザリガニは、セックスをしない。代わりに自分のクローンを生み出すことで繁殖する。クローン能力を身につけたこのザリガニは今、オスなして爆発的に数を増やしている。 2月5日付けで学術誌ネイチャー・エコロジー&エボリューションに発表された論文によると、ドイツの研究者たちは、マーブルクレイフィッシュ(通称:ミステリークレイフィッシュ)と呼ばれる新種のザリガニのゲノム塩基配列を解読した。その結果、調べた11個体すべてのゲノムがほぼ同一であることがわかった。つまり、このマーブルクレイフィッシュは交配による生殖はしないということだ。北米に生息する原種は普

    自分のクローンを作って爆発的に増える新種のザリガニ