現状維持に傾く民主党代表選に比べ、「次期首相」狙いの自民党総裁選は盛り上がる。だが、この政局からは国力の衰退を止め、どう巻き返すかという国家基本政策の対立軸が見えてこない。11月の大統領選に向け、現職オバマ候補(民主党)とロムニー共和党候補が国家経済モデルでせめぎ合う米国と対照的だ。 そこで気になるのが、現下の円高である。市場はなぜドルを売り、円を買うのか。まずは米国の量的緩和第3弾(QE3)の観測(13日に実施を決定)が挙げられるのだが、短期的な要因にすぎない。ドル相場には中長期には米国政治の意思、つまり国家基本政策が作用する。「金融」対「製造業」 「米国の意思」はどう決まるのか。ロムニー氏とオバマ氏の対立軸は「富裕層」対「中間層」、「小さな政府」対「大きな政府」というふうに報じられるが、歴史的にみると「金融」対「製造業」という米国資本主義特有の図式が浮かび上がる。 もともと米国で製造業