冒頭に、2枚の写真が掲載されている。どちらも東京・東中野駅付近を写したもので、一枚は1959年、もう一枚は2000年の写真。撮影の時間帯はいずれも夕方6時くらい。 59年の写真では、仕事から帰ってきた父親が子どもと一緒にフラループで遊んでいる。2000年の写真には、〈外で遊ぶ子どもたちの姿も映っていなければ、それを見守る大人たちも映っていない〉。 この2枚の写真を比較して、著者は、現代の社会を、隣人の顔が見えない社会だと言う。その結果、〈いまの社会では「みんな」という言葉が、誰から誰までを指すのかイメージしにくくなっている〉。中高生を読者対象として、現代社会の特徴を伝えるには、ナイスな入りだ。 人気社会学者の宮台真司が著した『14歳からの社会学』は、ベーシックに社会学史をたどるような本ではない。ざっくりといえば、現代社会の特性を押さえたうえで、“これからの社会を、どう運営していけばいいのか