国際テロの黒幕、ウサマ・ビンラディン容疑者がパキスタン領内で米軍に殺害された。日本人24人を含む約3000人が死亡した米同時多発テロ(01年9月11日)から10年、米政府と遺族の願いがようやく実った。あの恐るべきテロを振り返り、改めて犠牲者を悼みたい。 だが、何が終わったのだろう。ビンラディンという人間の人生は終わったが、容易に終わるまいと思えるのは、彼の思想と方法論の流れをくむテロ活動だ。オバマ米大統領が言うように「正義が行われた」のは確かだが、世界が直ちに安全になるとは限らない。同容疑者を異例の「水葬」にしたことも反発を買う恐れがある。当面、米国も世界も報復テロを警戒すべきである。 ビンラディン容疑者はイスラム原理主義の「アルカイダ」を率いていた。サウジアラビアの財閥の家に生まれた彼の資金力はテロ活動にも役立った。だが、今のアルカイダにとって同容疑者は象徴的存在であり、その思想に共鳴し