チリでことし4月から中等学校(高校、大学予科)生と大学生が、セバスティアン・ピニェーラ大統領の新自由主義政権に40波もの抗議デモを全国規模でかけ、教育政策の変更を迫っている。端的にいえば、「無料で質の高い公共教育」の実現を要求しているのだが、富豪の実業家ピニェーラを戴く政権が「無料教育の普遍化」に首を縦に振るわけがない。弱肉強食イデオロギーを前面に打ち出している右翼政権と、教育の機会均等復活を目指す学生は、教育を対立点としつつ、本質的には新自由主義政策の存否をめぐって戦っているのだ。 この国の教育民営化が進んだのは、1973年9月社会主義政権を、当時のニクソン米政権と連携して流血の軍事クーデターで倒し登場したピノチェー新自由主義実験政権の下でだった。90年3月の民政移管以降の中道・左翼の4政権は、新自由主義に立った経済の構造を変えることはできなかったが、福祉面などで「中産・貧困層への利益還