『キャッツ』(2019年)は、いずれカルト化すると思う。面白いかどうかはさておき、「変な映画を観た」という感触は確実に残るからだ。数年後まで尾を引くような個性が宿っている。ともかく異形の映画であることは間違いない。 本作がどういうストーリーなのかを説明するのは難しい。これは舞台版の頃から物語に重きを置いていないからだと私は考える。もちろん大筋は存在する。個性豊かな猫たちが転生するチャンスを狙って、それぞれ自己紹介代わりに歌とダンスを披露し、最後は選ばれし一匹が生まれ変わるために空へと昇っていく、というものだ。しかし、ではそのチャンスを巡って濃密な駆け引き/政治劇/ドラマがあるのかと言うと、そうでもない。あくまで次々と繰り出される歌とダンス、際立ったキャラクター、そしてヘンテコでポップなビジュアルが作り出す世界観が魅力だろう。観客は役者たちの素晴らしいパフォーマンスによるマジックにかかり、魅
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