1980年、日本初のスポーツ総合雑誌として創刊された「Sports Graphic Number」の誌面に、画期的なノンフィクション作品が掲載された。「江夏の21球」は、日本シリーズの最終戦で広島のピッチャー江夏豊が投じた21球の裏にある心理と智略を見事に描き出し、スポーツジャーナリズムに新しい可能性を拓いたのだ。 アスリートの内面に肉薄するという「Sports Graphic Number」を今も貫くスタイルが生まれた瞬間を、当時の編集長岡崎満義が1986年に記した文章で振り返りたい。 リリーフ投手のイメージを変えた――江夏豊の出現 『スポーツグラフィック・ナンバー』というスポーツ誌をやれ、といわれてから実際に発行するまで準備期間は七カ月あったが、「イケル!」と確信できたのは、江夏豊に会ったときだった。それは昭和55年1月2日、大阪のロイヤル・ホテルの一室であった。 江夏は何時間かのサイ
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