大平書屋から1978年に出た花咲一男の「江戸かわや図絵」は、古川柳を中心に江戸時代の文献より当時の便所や糞尿事情を探るという趣向の本で、その中に江戸時代の女性における立小便について述べた章があるので、女性の立小便に関する資料として転記しておく。 上図は同書に掲載されていた、詳細不明の「好色調方記」の木版図で、尻を突き出して小便桶に立小便する女性の姿が描かれている。 京女の立小便というと、よく引合に出されるのが次の曲亭馬琴の一文である。(羇旅漫録) 「女児の立小便 京の家々厠の前に小便擔桶ありて、女もそれへ小便をする。故に、富家の女房も小便は悉く立て居てするなり。但、良賤とも紙を用ず。妓女ばかり、ふところ紙をもちて便所えゆくなり。(月々六斎ほどつゝこの小便桶をくみに来るなり。)或は供二三人つれたる女、道ばたの小便たごへ、立ながら尻の方を向けて、小便をするに、耻るいろなく、笑ふ人なし」。 尻を