(訳者前書き)以下は、東欧の批判的左翼による優れた論評を掲載してきたLEFTEASTに掲載された論文の翻訳。著者のキルンは、ヨーロッパ世界が突然ウクライナ難民への門戸を開放する政策をとったことの背景にある「ヨーロッパ」と非ヨーロッパの間に引かれている構造的な排除に内在する戦争の問題を的確に指摘している。ヨーロッパが繰り返し引き起こしてきた戦争がもたらした難民には門戸を閉ざしているにもかかわらず、なぜウクライナはそうではないのか。ヨーロッパのレイシズムがここには伏在しているという。同時に、左翼が、ナショナリズムの罠に陥ることなく、国境や民族を越えて資本主義批判の原則を立てうるかどうかが試されているとも言う。ロシアにも米英EUにも与しない国際的な連帯を、ウクライナの問題としてだけではなく、欧米もロシアも仕掛けてきたグローバルサウスにおける戦争の問題を視野に入れて新たな階級闘争の理論化が必要だと